芸能界の光と闇を、強烈に魅力的なキャラクターたちを通して描いていく、注目アニメ『【推しの子】』が4月12日より放送中。アイドルユニット「B小町」不動のセンター・アイを応援する産婦人科医・ゴローが、アイの息子・アクアとして転生する物語だ。今回は、この主人公を演じ継ぐ伊東健人(ゴロー役)、内山夕実(幼少期のアクア役)、大塚剛央(アクア役)の3人に、それぞれの思い出の“推し”について、そして本作の“推し”であるアイの魅力について、語ってもらった。
■“推し”を追って友達と乗った人生初の夜行バス
――本作で“推し”といえばアイ(CV.高橋李依)ですが、皆さんの人生最初の“推し”は誰でしたか?
内山 私はロックバンドのJanne Da Arcさんが好きで、夜行バスに乗って地方のライブにも行って、ガンガン頭振ってました(笑)。ツアーを全部回ったりして、本当に推し活してましたね。
伊東 おおー! いいですね!
内山 大学時代の友達と夜行バスに乗って地方に行ったのが、人生初めての夜行バスで、すっごくワクワクしました。親が厳しかったのでなかなか許してもらえなかったんですが、「どうしても行きたい!」って懇願したら「その友達と一緒ならいいよ」と言ってくれて。その友達は先に推し活を始めていたので、歯ブラシセットとか必要なものは全部用意してくれて、「サービスエリアについたらトイレに行って、歯みがきするんだよ」なんて教えてくれて、すごく楽しかったです!
――そういう時間って、一生忘れられない思い出ですよね。
大塚 僕は推し活みたいなことはしたことがなくて……。でも人生で初めて好きになったアーティストの小田和正さんは、今でもずっと大好きです。同世代の友達はもっと若いアーティストさんを好きになっていましたが、その中で僕は「こんなきれいな歌声があるのか!」と感動して、ずっと聴いていて。確か中学1年生の誕生日プレゼントでは、オフコースの復刻したアルバムを買ってもらいました。
伊東 中学生で「オフコースのCDがほしい」って言ったんだ!?
大塚 親にも「オフコースって、あのオフコース!?」と言われました(笑)。でも、まだ一度も小田さんのライブに行ったことがないんです。
内山 それは行かないと!
大塚 はい、行きたいなと思ってます。
伊東 僕もアーティストさんなんですが、BUMP OF CHICKENさんが好きなんです。中高の頃は友達とのバンドでコピーしてましたし、初ライブに行ったときのことも覚えてます。高校1年生の1学期の中間テスト最終日でした。
内山 めっちゃ覚えてますね!
伊東 当時は野球部に入っていたので、中間テストの最終日なんて練習があるに決まってるんですよ。しかも夏の大会まで1ヵ月ちょっとという大事な時期だったんですが、「野球部の練習と、せっかく取れたBUMPのチケット、どっちが大事だ? ……ライブだろ!」ってことで、ライブに行きました(笑)。
一同 (笑)
伊東 ライブ1曲目の曲名も覚えてますから、大人になった今でもあの選択は間違ってなかったと思ってますね(笑)。
■「サインはB」に隠されたオーイシマサヨシの作曲術
――ライブと言えば、B小町が歌う劇中歌「サインはB」も、すごくテンションの上がる曲で素敵ですよね。
内山 一度聴いたら頭から離れませんよね!
伊東 以前、あの曲の作詞作曲を担当しているオーイシマサヨシさんにアニソンの作曲理論を聞いたことがあるんですが、例えば曲の最初にサビを持ってくるんだそうです。しかもサビの全部じゃなくて、一番聞かせたいフレーズを持ってくる。
大塚 確かに、この歌もサビ始まりですね。
伊東 そして「あなたのアイドル♪」の「る」のコードをちょっと捻ることで、ただかわいいだけじゃなくて若干の気持ち悪さを感じさせている、とか。
内山 そこで引っ掛かる感じが出るんですかね。
伊東 第1話で聴けたのは、ナレーションやセリフが重なっているショートバージョンでしたから、フルバージョンを聴くのが楽しみですね。
――皆さんはアイの魅力を一言で言うなら、何だと思いますか。
伊東 ……一言では言えないですね。
内山 存在すべてが魅力的で!
大塚 言葉では言い表せないです。
――皆さんがルビー(アクアの双子の妹に転生した、アイの熱狂的なファン)みたいになってますね(笑)。
内山 本当に言葉にできない魅力がありますし、唯一無二の存在だと思います。
伊東 アイってひとつ間違えたら「うわ、なんだコイツ」って思われかねないキャラクターだと思うんですが、それを読者や視聴者に不快感を与えずに描いているのがすごいですよね。それどころか第1話を観終わったとき、誰もが惜しむような人物になっている。それがアイという人物のすごさなんだと思います。
――アイを失ったことでアクアは壮絶な人生を歩むわけですが、第1話を見終えたとき「アクアがああなるのも無理はないな」と思いました。
大塚 アイの人生を一番間近で見ていましたからね。僕が演じるのは、アイの最期から十数年経った時点からなので、その間に彼の中に積もり積もったものは相当だろうと思うんです。言語化するのが難しいくらい複雑な気持ちを抱えているし、そういう想いを登場する誰もが抱えている作品ですよね。
©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会