■『クッキングパパ』コーラを使った肉料理

 グルメ漫画は長期連載となる作品が多いが、その中でも随一の長さを誇るのが、うえやまとち氏による『クッキングパパ』(講談社)である。現在も連載中で、単行本は164巻まで刊行されている。そんな『クッキングパパ』には、時代を先取りしたような一風変わった調理法が登場する。それがコーラを使った肉料理だ。

 コーラの特徴を上手く活かして作られた料理が「ヤング肉じゃが」である。しかもこの料理が掲載されたのは最近の話ではなく連載初期の1980年代だから、「料理にコーラなど合うはずがない」と、当時は誰もが思ったことだろう。しかも肉を漬け込むというのではなく、鍋の中にコーラをドボドボ入れるから衝撃的である。

 中には真似をして、出来上がった肉じゃがにコーラを入れて煮込んだ人もいるが、それでは全く美味しくならない。この料理のポイントは、豚肉を使うのではなく焼いた手羽先を使うこと。そしてアク取りなどをしっかりすることも重要なので、ただコーラを入れて煮るだけの料理ではないのだ。

 実際にレシピを完全再現して作る人も多く、レシピサイトなどにもよく掲載されている。「コーラは料理にも使えるんだ。例えば肉じゃがとかね」といったように、会話のネタにもなりそうである。

 

 日本は、世界各地の料理や、それを日本風にアレンジした料理などが広く楽しめるグルメ大国でもある。そんな“食い道楽”な日本人にとって、グルメ漫画はただ美味しい料理を目で見るだけではなく、その食材や調理法までをも知識として取り込むという欲を満たしてくれる娯楽だ。そこで得た様々な雑学は、他人にもつい教えたくなってしまうネタの宝庫なのだ。

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