『天使なんかじゃない』の翠に『君に届け』の爽子も…“新生活での大失敗を成長に変えた”少女漫画のヒロインたちの画像
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 4月がはじまり、ワクワクの新生活を迎えている人は多いだろう。少女漫画の世界でも入学や就職など新生活のシーンを描いた作品は多くあるが、なかには新生活がはじまって早々、大失敗をしでかしてしまったヒロインたちもいる。しかし、そんな彼女たちは失敗を成長に変え、恋愛面だけではなくプライベートまでも充実させていく姿を見せてくれる。今回は、そんなヒロインたちを紹介したい。

■恥ずかしすぎる大失敗を活かして人気者に…『天使なんかじゃない』冴島翠

 まずは、1991年から『りぼん』(集英社)で連載された、矢沢あい氏の名作『天使なんかじゃない』の主人公・冴島翠だ。

 翠は創立されたばかりの私立聖学園に入学し、成り行きで生徒会発足に伴う役員選挙に立候補することとなった。立候補者による演説が行われた際、くじ引きでトップバッターを務めた翠。こともなげに演説をし、ピースサインをしながら舞台裏へ下がろうとするのだが、なんと途中でマイクコードにひっかかり、全校生徒の前で豪快に転んでしまう。しかも、あろうことか、赤チェックのパンツが丸見えになるという緊急事態に……。

 ハプニングとはいえ、年頃の女の子にとって全校生徒の前でのこの状況は耐えがたいものだろう。しかし彼女はその後、自身をモデルにした「エンジェル冴島」という赤チェックのパンツがトレードマークのマスコットキャラを描き、ポスターを作成。見事、生徒会のメンバーとして選ばれ、大成功をおさめるのだった。

 ちなみに、この大きな失敗のときに助けてくれたのが、本作のヒーロー・須藤晃だ。晃は思わぬハプニングに沸き立つ生徒たちに向かって「うるせえ!!」と一喝。続けて「いつまでも うれしがってんじゃねえよ あんな色気のねぇケツに!」と笑いを取りつつ、皆の注目を翠から自身へと逸らしてくれるのだ。

 このハプニングを機にはじまった翠のカラフルな学園生活。落ち込んだり悩んだりしながらも、持ち前の元気と笑顔で乗り切る彼女の姿に勇気づけられる読者は多いと思う。

■見た目が“貞子”…自らかって出た“おばけ役”で大健闘!『君に届け』黒沼爽子

 2005年から『別冊マーガレット』(集英社)で連載され、実写映画化も果たした椎名軽穂氏による『君に届け』(集英社)にも、魅力的なヒロインが登場している。

 主人公・黒沼爽子は、かの有名なホラー作品『リング』に登場する“貞子”のように黒く長い髪と青白い肌をしていることから、小学生のときから“貞子”というあだ名で呼ばれていた。

 実はとても前向きな性格で一生懸命なのだが、見た目のせいで誤解されがちな爽子。級友たちに歩み寄ろうとするも、怖がられてしまうか、意味もなく謝られてしまうという状況だった。

 そんな彼女は、クラスメイトたちが肝試しを企画している際、「貞子がおばけ役をやってくれないかな」と話しているのを聞いてしまう。普通なら落ち込んでしまいそうなものだが、爽子はここで“見た目の怖さ”を活かし、おばけ役をかって出る。結果的に爽子がサプライズでおばけ役に扮したことで、肝試しは大盛り上がりだった。

 見た目を揶揄した、とりかたによっては“いじめ”ともいわれる扱いを受けていたものの、彼女はそんな自らの状況を悲観することなく前向きにあり続けようとした。そうした彼女の姿を見て、クラスメイトたちからの誤解はとけ、夢にまで見た学園生活を送ることができるようになっていく。

 もちろん、爽子のことを気にかけてくれる風早翔太の存在や、友人として彼女を大切に支えてくれる矢野あやねや吉田千鶴といったキャラが登場することも、彼女が変わっていくきっかけになっていると思うが、彼女自身が勇気を出して踏み出した一歩が、重要なキーとなったことは間違いないだろう。

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