■抑止力にまでなり得るロシアン・マフィアの女幹部…『BLACK LAGOON』バラライカ

 2002年より『月刊サンデージェネックス』(小学館)にて連載された広江礼威氏による『BLACK LAGOON』。本作は世界最悪レベルの治安という設定のタイの架空都市・ロアナプラを舞台に、数々の“裏社会”の人間たちの戦いが描かれるクライムアクション作品だ。

 ロアナプラにおいて、ロシアンマフィア「ホテル・モスクワ」の幹部として君臨しているのが、バラライカだ。金髪にスーツ姿、全身の至る箇所にある“火傷痕”が特徴的な女性で、煙草や葉巻を吸っていることが多い。

 普段は物静かなのだが、その内面は非常に好戦的で残虐。元・旧ソビエト連邦の遊撃隊に所属していた過去を持っており、いまだに当時の光景に思いを馳せる“戦争マニア”でもある。

 普段は指示を下すだけで前線に出ることはほとんどないのだが、悪党が跋扈するロアナプラにおいて最も恐れられている存在と言っても過言ではなく、「彼女が自ら動く=ホテル・モスクワが“本気”になった証」と恐れられるほど。素手で大の大人を軽く殺害するほどの戦闘能力を持っている彼女が率いる組織の総火力は圧倒的で、存在そのものが一種の“抑止力”となっているという。

 妖しい美貌のその奥底に、“戦争”そのものを内包したような、なんとも危険極まりないキャラクターだ。

 

 美しい薔薇には棘がある……とはよく言うものだが、漫画に登場する女性キャラクターは、ときに麗しい容姿のその裏に思わぬ冷徹さを隠し持っているものだ。“指揮官”として軍や組織をコントロールしつつ、ときに自身の高い実力を発揮する彼女たちからは、そんな美しくも危うい魅力が溢れ出ている。

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