■バランスの取れた配置がカギを握る『キングオブキングス』

 1988年12月に発売されたのが、ウォーシミュレーションゲームの『キングオブキングス』だ。同年の8月には『ファミコンウォーズ』、10月には『大戦略』(ボーステック)と戦略重視のウォーシミュレーションゲームが発売されており、ファンタジー色が強い『キングオブキングス』は、最初の印象が違っていたものだ。

 とはいえ、このゲームはかなりやり込める。拠点が城や町で人間だけでなく妖精やドラゴン、モンスターとRPG要素があるので感情移入しやすい。戦車や戦闘機といった類が苦手な人でも、ドラクエをやるようなイメージで入れるのが良かったと言えるだろう。

 選択するユニットはお金で雇用するのだが、コストがかかるので最弱のファイターやゴブリンが序盤は主流になる。でも、実はかなり重宝するもので、高いユニットばかりを集めても敵のキングには勝てない。ジャンケンのような関係もあるので、コストの低いユニットだからといって侮れないのが面白い。

 とくに敵のボスともいえるキングはドラゴンなどの強力なユニットにも優位性があって最強なのだが、なぜか最初から簡単に買える最弱のファイターや上位のナイトには弱い。ならばファイターやナイト陣営で攻めればいいじゃないか! ともなりそうなものの、それだとキングまでの道中、ほかのユニットに急襲されるので辿り着けないのだ。

 力でゴリ押しの戦略では勝てず、地形効果と合わせてユニットを選び、バランスの取れた配置で攻めなければ攻略できないのがもどかしくも、最高に楽しかったな。

 そういえば、このゲームの開発元は『女神転生』なども手掛けたアトラス。なるほど、ゲームのBGMやシステムが秀逸なのもうなずけるぞ。

 

 さて、ナムコのシミュレーションゲームは優秀なものばかりで、当時は長く遊べたものでもある。ちょっと値段が高い光栄の歴史シミュレーションゲームよりもお手軽だっただけに、多くの子どもたちがシミュレーションゲームに入るきっかけとなったのではないだろうか。

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