■主人公を導く役、刀を振るう男
一方、『あんさんぶるスターズ！！』（19年）乱凪砂役なミステリアスな声や、『文豪ストレイドッグス』（16年）織田作之助役のマフィアでありながら、孤児を育てる男の達観をもハードボイルドに演じる諏訪部さん。たとえば『僕のヒーローアカデミア』（16年）の相澤消太役も、そんな大人の男の一人。主人公・緑谷出久たちが通う、雄英高校ヒーロー科1年A組の担任教師で、ヒーロー名は「イレイザー・ヘッド」。超合理的思考の持ち主で「個性」を無力化する能力者を、諏訪部さんは気だるげながら芯のある低音ボイスで演じて、作中の人気キャラに押し上げた。
こうした主人公たちのメンター的な役どころに起用される諏訪部さんは、常に「ついていきたくなる男像」を醸し出してくれる。『ユーリ!!! on ICE』（16年）で演じた天才スケーターにして、「生ける伝説」ヴィクトル・ニキフォロフ役はその筆頭かもしれない。さらに、『ブラッククローバー』（17年）で、主人公のアスタが入団する、魔法騎士団「黒の暴牛」の長たる、ヤミ・スケヒロ役も素晴らしい。
そして、このヤミ団長同様、諏訪部さんの刀を振るうキャラクターには艶がある。『Fate/stay night』（06年）のアーチャーや、『BLEACH』（07年）のグリムジョー、『ソードアート・オンライン アリシゼーション』（19年）のベルクーリなど…。その諏訪部さんは、６月放送予定のアニメ『マイホームヒーロー』（23年）でサラリーマンの主人公・鳥栖哲雄役を演じる。鳥栖がある事件に巻き込まれていくサスペンスで、諏訪部さんがどんな声とキャラクターで、我々の耳と心を震わせてくれるのか。その活躍を今後も追い続けたい！
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