「ドラマチックガス」に「ムード盛り上げ楽団」も…『ドラえもん』“日常に彩りを加える系”のひみつ道具の数々の画像
てんとう虫コミックス『ドラえもん』(小学館)第7巻

 毎日働いて食べて寝て起きてまた働いて……というサイクルを繰り返していると、さすがにうんざりしてくる瞬間がある。平穏なのはいいことだが、あまりに変わり映えない日々を過ごしていると、退屈すぎて感情が平坦になっていってしまうものだ。

 藤子・F・不二雄氏の「ドラえもん」には、そんなときにぴったりの“ひみつ道具”がたびたび登場する。今回はそのなかからいくつかを取り上げてご紹介。現実逃避のおとも(?)にでもしていただければ幸いである。

 

 代わり映えしない毎日にドラマがほしい、そんなときにおすすめなのはなんといっても「ドラマチックガス」だ。てんとう虫コミックス36巻収録「もりあがれ! ドラマチックガス」に登場するこのひみつ道具は、使用者とその周りの人間の気分をドラマチックに盛り上げるという効果を持つ。使えばたちまち、どんな些細な出来事も壮大なドラマに変わってしまうのである。

 本エピソードで描かれたのび太の1日は、ゴロゴロしていたところをママに怒られ、それからお花の先生のもとまでおつかいに行き、その途中で友人や先生と出くわしつつ、無事につとめを果たして帰ってくる――というだけのものだった。

 しかしドラマチックガスの手にかかれば、このなんてことのない日常も“長くつらい旅”に早変わり。家を出るときはドラえもんとママに涙ながらに送り出され、道中出会ったしずかちゃんとは今生の別れかというレベルで愛を伝え合い、スネ夫とジャイアンにボコられたときは「死んでもつとめをはたすからね!」と心に誓い……と、壮大な冒険談さながらのやり取りが繰り広げられる。なにせ全員盛り上がっているので、ツッコミ不在でどんどん白熱していくさまがシュールだ。人間どころか風や太陽まで空気を読んで舞台装置になっているところが面白い。

 おつかいが冒険談になるのだから、学校や仕事は世界を守るための一大プロジェクトにでもなりそうである。効果が切れると一瞬で我に返るとはいえ、ドラマに入り込んでいるあいだは時間があっという間に過ぎていくことだろう。どうにもやる気が出ない日に、ぜひ一度使ってみたいものだ。

 ちなみに、ひみつ道具「オーバーオーバー」も似たような効果が得られるが、こちらは自分以外に影響がないため、周りにドン引きされてしまうのが難点である。しかしこっそり非日常を楽しみたいのであれば、こちらのほうが使いやすいだろうか。

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