■小林桂樹、立花隆らがあの声を担当!

天沢聖司の祖父・西司郎。演じたのは、小林桂樹。
© 1995 柊あおい/集英社・Studio Ghibli・NH

 また、聖司の祖父で「地球屋」を営む西司郎役がなんといっても小林桂樹。森繁久彌主演の『社長』シリーズはじめ、数々の東宝の名作を中心に活躍。東宝の大作戦争ものでの軍人役を中心に大河ドラマなどにも出演。『江分利満氏の優雅な生活』などではいち市民の細々とした生活をユーモラスに演じるなど、スケールの大きい昭和の名優だった。
 他にも主人公・雫の父役には「田中角栄研究」で知られ、東大教授などを歴任したジャーナリストの立花隆。本作では、図書館に勤務する良き父親役で、雫を想いやる存在感を示している。文筆では舌鋒鋭い「知の巨人」として知られ、長らく論壇で活躍した氏の演技は、ナイーブにして、繊細ながら、ある種の頑なさをも秘めているキャラクターで素晴らしい。
 さらに西の友人役には、画家にしてイラストレーター、井上直久も声優で出演。井上の描く「イバラード」の世界観は、雫の描く小説として本作を彩っているほか、井上の生みだしたキャラクター「めげゾウ」は実は本作の工房シーンの背景で登場しているのも注目のポイントだ。
 高橋一生、露口茂、小林桂樹、立花隆、井上直久…。いずれもジブリ作品への出演作は本作のみ。彼らにとっての唯一無二の作品『耳をすませば』を、いま一度観たくなってはこないだろうか。

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