高橋一生だけじゃない!『耳をすませば』露口茂、小林桂樹…シブすぎる男性声優の唯一無二な演技の画像
『耳をすませば』の天沢聖司。演じたのは、14歳の高橋一生。© 1995 柊あおい/集英社・Studio Ghibli・NH
全ての写真を見る

 数々の俳優を声優にキャスティングしてきたジブリ作品。今回はジブリ作品『耳をすませば』に出ていた名優&文化人たちを、その名演とともに振り返る!

 

■変声期前に演じた天沢聖司役=高橋一生「耳をすませば」…

 1998年、宮﨑駿監督、高畑勲監督作品の右腕として活躍したジブリ屈指のアニメーター・近藤喜文が映画監督デビューした。その作品が、甘酸っぱい青春ラブストーリー『耳をすませば』だ。
 映画監督としては本作1作のみで亡くなってしまった夭折の天才・近藤喜文監督が主人公の中学生・月島雫役に選んだのは、すでに高畑監督の『おもひでぽろぽろ』に出演していた本名陽子。そして、雫が想いを寄せる天沢聖司役にキャスティングされたのは、変声期前の高橋一生だった。本作ではヴァイオリン職人になるという想いを語り、雫の「運命の人」になる役柄を等身大で演じている。高橋のジブリ作品屈指のイケボぶりは、この作品の大きな魅力。とくに「今すぐってわけにはいかないけど、俺と結婚してくれないか!」のストレート過ぎるセリフには、今聞いても心を打たれる。
 ちなみに、高橋は本名と同じく『おもひでぽろぽろ』にも声優としてチラリと出演。そのキャラクターを探してみるのも楽しいかも。高橋はこの作品以降、現在に至るまで劇場アニメには出演していない。つまり、『耳をすませば』の高橋の芝居は、「天沢聖司」を観る者の鼓膜に記憶させたとともに、高橋の数少ない声の仕事の一つという意味でも、稀少な輝きを放っている。

 

■あの名優も!見逃せない!バロン=山さん(露口茂)

『耳をすませば』のバロン。声優は「あの人」!
© 1995 柊あおい/集英社・Studio Ghibli・NH

『耳をすませば』で忘れられない声優がもう一人。美しくてシブい猫の人形・バロン。その声を演じていたのは、伝説的刑事ドラマ『太陽にほえろ』の山さんこと、山村精一役で有名な露口茂だった。

 72年〜86年まで同作に出演、お茶の間の人気を得た露口だが、数々の吹き替えやラジオドラマでも声優として活躍していた。声優としての代表作の一つは『シャーロック・ホームズの冒険』(グラナダテレビ版)でのホームズ(ジェレミー・ブレット)役。孤高の紳士ながら、好奇心が赴くままにエキセントリックに変貌するアンビバレントなキャラを演じた「露口ホームズ」は日本でも大人気となり、ロングシリーズとなった。その露口は「行こう、恐れずに! 午後の気流が乱れる時、星にも手が届こう!」と、短い登場ながら、小説を書く雫のイマジナリーな存在として作中で活躍。『耳をすませば』を代表するキャラクター・バロンは、ジブリ作品でも紳士像を刻みつけた。

 

 

  1. 1
  2. 2