■チェッカーバトルに可能性を感じる『ライブ・ア・ライブ』
ターン制を廃止し、マス目を移動しながら戦う戦略シミュレーションゲームのような戦闘システム「チェッカーバトル」が特徴的だったRPG『ライブ・ア・ライブ』。こちらも続編が望まれるスーファミ時代の名作だろう。
前述のチェッカーバトルに加え、サブカル要素や当時の流行りを積極的に取り入れて、かつ世界観の全く違う世界を、完全に別々の主人公パーティーで進んでいくオムニバス形式のシナリオ。これも非常に挑戦的なシステムだった。
一方で、一部のステータスダウンなどの補助技が強く、多くのボスがワンパターンで倒せてしまう点や、脇役も最終章で使いたかったなどの不満点も存在する。これらのシステムを調整し、発展させた『ライブ・ア・ライブ』続編をプレイしたいという筆者のようなファンは少なくないはずだ。
1994年のスーファミRPGは群雄割拠の時代で、3月に『真・女神転生II』、4月には『ファイナルファンタジーVI』が発売され、8月27日発売の『MOTHER2 ギーグの逆襲』の翌週である9月2日に『ライブ・ア・ライブ』が発売された。
それらに比べると同作の知名度は低く、それゆえに続編に繋がらなかったと指摘するファンの声もある。だが2022年には「HD-2D」グラフィックで新しく蘇ったリメイク作が発売され、当時を懐かしむユーザーだけでなく新たなユーザー層の獲得にも成功していた。こちらもまた、近い将来「続編」で楽しむことができる日があるかもしれない。
■王道ターン制コマンドRPGの集大成『ルドラの秘宝』
最後に紹介する『ルドラの秘宝』は『スーパーマリオRPG』や『ライブ・ア・ライブ』と比べるとオーソドックスな作りのターン制コマンドRPGである。しかし、グラフィック、ストーリー、システムはどれも高水準。1996年というスーファミ後期に開発されたタイトルだけあり、スーパーファミコンRPGの集大成的なクオリティを誇る名作だ。
ユニークなシステムといえば魔法を自分で作ることができる「言霊システム」だろう。これは入力した名前によって魔法の効果が決まるシステムで、「オナカスイタ」や「ノロイビーム」、「スズキタロウ」といったふざけた名前でも作成することが出来、実際に使用できてしまう。
言霊システムでは「テレポ」などの他のRPGの魔法の名前。また、『ドラクエ』や『女神転生』シリーズなど、他社作品が由来の名前で作っても、それに準拠した効果になってしまうという、ファンにはうれしい小ネタも仕込んである。非常に面白いシステムだった。
こういった言霊システムもさることながら、『ルドラの秘宝』の魅力はやはり躍動感のあるグラフィック。3視点の出来事が絡み合うクオリティの高いシナリオ。迫力がありながらもスピーディーに進む、爽快感のある戦闘システムといった、ターン制コマンドRPGとしての完成度の高さだろう。
続編が出ないのは、時代がすでにプレイステーションなど第5世代機へ移行し始めた時期だったこともあり、スーファミ後期のタイトルである本作をプレイしている人が少ないためかもしれない。とはいえ、ターン制コマンドRPGとしての可能性をさらに突き詰めていく『ルドラの秘宝』の名を冠した続編。これこそ「出さなければもったいない」と声を大にして言いたい名作だ。
近年では『オクトパストラベラー』シリーズや、発売が予定されている『HD-2D版ドラゴンクエスト3』といった、ドット絵RPGを発展させた作品が話題を呼んでいる。もしかしてあのゲームも「続編」が出るのではないかと、つい期待してしまう今日この頃である。