■任務と大切な者たちを守るために戦った「バーニィ」
続いては『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』より、バーニィことバーナード・ワイズマンだ。第1話「戦場までは何マイル?」において、バーニィの搭乗するザクII改は戦闘で被弾、そのままサイド6コロニー内の公園に不時着した。このとき、被弾したザクII改を目撃し、追いかけてきた民間人の少年、アルフレッド・イズルハこと、アルがバーニィと出会い、物語は進行する。
第3話「虹の果てには?」では、アルの隣人、クリスチーナ・マッケンジー(クリス)に泥棒と間違えられ、そのことがきっかけで2人は好意を寄せ合うようになる。バーニィとアルの兄弟のようなやり取りや、クリスとバーニィの恋路など、他のガンダム作品よりほのぼのとした日常が多く見られる。
バーニィはその後、ジオン軍特殊部隊サイクロプス隊に編入されることとなった。サイクロプス隊は、連邦軍の新型モビルスーツ、ガンダムNT-1の奪取(ルビコン計画)を目的としていたが、第4話「河を渡って木立を抜けて」において、バーニィ以外の隊員が全滅してしまう。
ルビコン計画の失敗を知ったジオンは、新型モビルスーツ、ガンダムNT-1をサイド6ごと核ミサイルで破壊することを計画する。バーニィはサイド6が破壊される前に、コロニーからの脱出を考えるが、戦死したサイクロプス隊の仲間やアル、クリスのことを想って脱出を断念、核ミサイル攻撃前に、一人で当初の目的であったガンダムNT-1を破壊しようとするのだ。
最終話「ポケットの中の戦争」において、バーニィは修理したザクII改で、ガンダムNT-1をおびき出し、一騎打ちでモビルスーツ戦を挑む。事前に準備したトラップでガンダムNT-1を追い込むことに成功するが、最後はビームサーベルでコックピットを貫かれ、ザクII改ごとバーニィは爆死した。
このときアルは、事前に核ミサイルの攻撃が失敗したことを知っており、バーニィが戦う必要がないことを訴えていたが、戦闘中のバーニィにその声が届くことはなかった。そして、バーニィの死の直後、ガンダムNT-1のパイロットが隣人のクリスであることも知るのだ。
バーニィはアルにビデオメッセージを残していた。そこには、自身がガンダムNT-1の破壊に失敗した際、核ミサイルの攻撃から民間人を避難させられるよう準備をしていたこと、そして自身が死んでもガンダムのパイロットを恨まないこと(クリスだとは知らない)、自分を責めないことを伝えていた。
アルの兄のようだったバーニィが最後まで死ぬことなく、アルやクリスと幸せに過ごす姿が見たかったと、思わずにはいられない。