ランバ・ラルからケリィ・レズナーまで…『ガンダム』シリーズで死んで欲しくなかった“ジオン軍のパイロット”3選の画像
『ジオン兵列伝ぴあ〜義の漢たち〜』(ぴあMOOK)

機動戦士ガンダム』シリーズは「戦争」を中心に物語が進行する。そのため、他のアニメ作品と比較しても、キャラクターの死が多く、生々しい描写も少なくない。死にゆくキャラクターの中には、視聴者の感情移入度が深く、途中退場が惜しまれる者も多く存在する。今回は『機動戦士ガンダム』シリーズの、死んで欲しくなかったキャラクターから、ジオン軍のパイロットに絞って紹介していく。

■アムロたちに兵士のあり方を教えた「ランバ・ラル」

 最初に紹介するのは、『機動戦士ガンダム』よりランバ・ラルだ。“青い巨星”の異名で知られるラルは、第12話「ジオンの脅威」で、新型モビルスーツ・グフを駆り、ガンダムやホワイトベース隊を苦しめた。有名なセリフ「ザクとは違うのだよ! ザクとは」も、グフの性能でガンダムを圧倒した際に、発せられている。

 第19話「ランバ・ラル特攻!」では、軍人としても、人間としても器の大きいラルが描かれている。作戦前の休息として、町で食事を摂ろうとしたラルの部隊は、偶然居合わせたガンダムのパイロット、アムロ・レイとホワイトベースクルーのフラウ・ボゥに遭遇する。フラウが連邦軍の制服を着ていたことから、アムロも連邦軍とバレてしまうが、ラルは「戦場で会ったらこうはいかんぞ。頑張れよ、アムロ君」と、おとがめなしに帰しているのだ。(尾行はつけている)

 また、第20話「死闘!ホワイト・ベース」で、ホワイトベースに白兵戦を仕掛けた際には、フラウと鉢合わせ、彼女の銃をはたき落とすと、「銃を持っていれば殺す。どこかに隠れているんだ」と言い放った。子供や女性を殺害するような、戦闘はしないのだ。

 ラルはこの回で、隙を突いて突撃してきたリュウ・ホセイに撃たれ、さらには、通信室を破壊しようとしたガンダムのビーム・ジャベリンによって致命傷を与えられてしまう。敗北をわきまえているラルは、「兵士の定めがどういうものか。よく、見ておくのだな」と手榴弾で自害した。捕虜になることを選ばず自害したこともまた、「戦場の死」というものをホワイトベースクルーに身を挺して見せた懐の深さともとれるだろう。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではさらに、ジオン・ズム・ダイクンの遺児2人(キャスバルとアルテイシア)を地球へ逃がすために尽力した、若かりし日の漢気あふれれる活躍が見られる。ろくな大人が描かれないガンダム作品において、ラルは死んでほしくなかった惜しいキャラクターと言える。

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