■少女アニメでおなじみだった予告セリフ

 続いては、『最遊記』シリーズの「須らく看よ(すべからくみよ)」。主人公の玄奘三蔵が予告後に言うセリフであるが、当時「すべからく」という子どもには耳馴染みのない言葉を聞き、意味が分からなかったという人も多いのではないだろうか。

「すべからく」とは、「当然」「するべきこととして」などという意味を持つ言葉。端的に「絶対見てね」と言う意味になるが、聞きなれないために逆に耳につく忘れられない言葉の魅力を持っていた。

 また少女向けアニメでも『美少女戦士セーラームーン』の「月の光は愛のメッセージ」や『おジャ魔女どれみ』の「ハッピー、ラッキー、みんなにと〜どけ!」、『Yes! プリキュア5』の「見て見て見てね!」など、次回予告のセリフが有名なものも多い。

 さらに、主人公の口癖や作中の特徴的なセリフが次回予告の最後に使われている例も多く、『姫ちゃんのリボン』の「行け行けゴーゴージャンプ!」や『怪盗セイント・テール』の「皆さんに神の御加護がありますように」、『カードキャプターさくら』の「さくらと一緒に『封印解除(レリーズ)!』」などは、アニメを見ている子どもが楽しめるようになっている。

■最終回に向けどんどん熱量が高くなった千葉繁のナレーション

 昭和世代のアニメでは『北斗の拳』での千葉繁のナレーションによるテンションの上がる毎週の次回予告が伝説となっている。

 千葉は以前『アウト×デラックス』(フジテレビ系)に出演した際に、回を追うごとにナレーションのテンションが上がっていくことやモブキャラの断末魔に込めた熱い気持ちを語っていた。

 実際に物語序盤の予告と終盤の予告を聴き比べるとわかるのだが、サブタイトルを読み上げる際の歌舞伎のような大見栄や、高い声での叫びがどんどんとエスカレート。最終回付近ではプロデューサーから「千葉さん死んでください」との無茶ぶりがあり、死にかけながら挑んだという。

 そしてあまりにもテンションの高い千葉のナレーションのあとに、ケンシロウによる「お前はもう死んでいる」や「北斗の掟は俺が守る」という決まり文句で締められる。わずか十数秒ながら、クールなケンシロウとホットな千葉による対照的な次回予告は『北斗の拳』という作品を大いに彩った。

 耳に残る予告があれば、来週もこのアニメを見てみようと思うもの。彼、彼女の次回予告が作品人気の一助になっていることは言うまでもないだろう。

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