『マルサの女』や『ゴジラ』も…邦画を“ドット絵で再現”してめちゃくちゃ面白かった名作ファミコンソフト3選の画像
ファミコンソフト『ゴジラ』

 ファミコンでは、邦画を原作としたゲームも面白かった。ドット絵だったので映画の世界観を損なわずに、独特の雰囲気を持って再現していた秀逸な作品といえる。そこで、邦画を再現して面白かった名作ゲーム3選を紹介していこう。

■大ヒット映画の世界観を再現できた!伊丹監督が監修した『マルサの女』

 まずは、1989年9月にカプコンから発売された『マルサの女』だ。今となっては、このアドベンチャーゲームがカプコンから出されたことに驚いてしまう。

 映画版『マルサの女』は1987年に公開され、監督は伊丹十三で妻の宮本信子が主演を務めており、日本アカデミー賞の主要部門をほぼ独占したほどの名作だ。

 とはいうものの、当時筆者は小学生だったので映画はまったく見ていなかった。ゲーム発売時も中1だったので、なんとなく敬遠していたものだ。だが、巷で面白いという話を聞いていたので、社会人になってから映画を観たところ、これが本当に面白かった。

 そこからちょっとイメージ的に怖かった伊丹作品をレンタルビデオで観るようになってすっかりハマってしまったな……。ならばと、まだまだ現役だったファミコンを動かし、ゲーム版を購入してみた。ゲームを監修しているのが伊丹監督というのも購入する決め手となった。

 いきなりオープニングでの演出の恐ろしさ……。5億で買ったマンションが8億で売れて3億の儲け。これをどこかからの借入金にしたいという。おいおい……こんな会話を小学生が理解できるのか?と思いつつ、関西人が悪者に感じられたものだった……。

 PS時代にプレイしたのだが、当時のファミコンはドット絵ながらもビジュアルも向上しており、全然違和感がなかった。こんなに綺麗なら、1989年当時のゲーマーたちは驚いただろう。さすがカプコンである。

 一部違いがあるものの、ゲームも基本は原作通りに進んでいく。というよりも、原作を知らないと理解できないかもしれない。映画を一回見ただけでは難しかった人向けに、ゲームがあるようにも感じたな。

 本格的な言葉が次々と飛び出すのだが、全部ひらがなで表記されるのでちょっと難しかった。だが、内容は面白い。そもそも、「マルサ」というのが強制調査権限もある国税局の査察官というのも初めて知ったな。

 なにかと勉強になったこのゲームだが、とくに知りたかったのはゲームや映画にも登場する「脱税マニュアル」だったぞ。う〜ん、今もちょっと知りたいかも……。

■パッケージが恐怖! 名作『バイオハザード』の原点となった『スウィートホーム』

 さて、お次も1989年12月にカプコンから発売された『スウィートホーム』だ。同年1月に公開された黒沢清監督の同名ホラー映画を原作にしており、パッケージからしてとにかく怖かった。4歳上の兄とその悪友たちに連れられ、映画の公開時に観に行かされたな……。

 5人のテレビクルーが呪われた館の取材に訪れるという、間違いなく何か起こりそうな設定で、少し移動するのにも恐怖し、時間がかかったものだ。

 RPGなのだが、専用アイテム以外の武器やアイテムは現地で調達し、気持ち悪い悪霊たち(敵キャラ)を退けながら謎を解き、館からの脱出を図る。もはや『バイオハザード』といってもいいくらいなのだが、まさに本作は1996年に発売された名作『バイオハザード』の原点なのだ。実際、この時のスタッフが集結して開発を担当したという。

『スウィートホーム』のプレイは、登場する5人のキャラでパーティーを組んだり、離れたりしながら操作していく。アイテムの上限数があるので交換できるのもありがたかった。そういえば、『バイオハザード0』のレベッカとビリーでも同じことができたな。そして、ドアを開けるときの音に恐怖心をあおられた……。もっとゆっくり開けて〜と思いながら進んだ記憶がある。

 映画とは異なる点も多いが、5人のキャラのうち1人でも死んでしまったら生き返らないというのも斬新だった。現実的に考えると当たり前なのだが、専用アイテムを持って死んでしまうのでどうしても詰んでしまう場面が多かったな……。

  1. 1
  2. 2