■原作愛が詰まったフランス版『シティーハンター』
2019年公開のフランス映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』も、近年高い評価を集めた実写化作品だろう。北条司氏による漫画『シティーハンター』が実写化されたのは、1993年に製作されたジャッキー・チェン主演の香港映画以来、26年ぶりのことだった。
実写化の経緯は、監督兼脚本兼主演とプロジェクトの大翼をになうフィリップ・ラショーが小学生の頃から『シティーハンター』の大ファンであったことが発端。自ら北条氏の事務所へ実写版の企画書を提出し、18か月をかけて書いたという脚本を携えて来日して実写化が叶ったのだという。まさに情熱の勝利だ。
その甲斐あってか、フランスでは公開からたった2週間で観客動員100万人を突破した。日本でも公開前からキャラクターの再現度の高さが話題になっていたが、高い評価を得た理由は何よりも『シティーハンター』へのリスペクトにあふれていたことではないだろうか。小ネタもたっぷりで「きっと『シティーハンター』がもともと海外作品ならこんな感じなのだろう」というナチュラルさがいい塩梅に収まっていた。
そして、冴羽リョウと槇村香に相当する役(同作では名前がそれぞれニッキー・ラーソンとローラ・マルコーニという名前になっている)の相性や雰囲気がものすごくいい。それもそのはず。同役を演じた二人は私生活でもパートナー同士で、作中での息もぴったりなのだ。二人が迎える結末のほほえましさについニンマリしてしまう。
2024年には日本での初の実写化として『シティーハンター』のNetflixオリジナル映画が公開予定。鈴木亮平が冴羽リョウ役を務めることで早くも話題を集めているが、そちらも成功のカギは「原作へのリスペクト」かもしれない。
今後は『ONE PIECE』や、『僕のヒーローアカデミア』『進撃の巨人』『ワンパンマン』といった漫画の海外での実写化が発表されている。いずれも日本での知名度の高い人気作品だけに、原作ファンも納得の仕上がりになることを期待したい。