日本発の漫画やアニメが海外で実写化される例は少なくない。巨額の資金を投資して製作された映画はどれも大きな規模で物語を再現しており、日本では到底実現できないようなスケールに驚かされることもしばしば。2月15日には、車田正美氏による漫画『聖闘士星矢』のハリウッド映画『聖闘士星矢 The Beginning』(4月28日公開)の最新映像が公開となったが、新田真剣佑が演じる星矢の戦う様子や、鷲星座(イーグル)の魔鈴と思われるキャラの姿など、これまでの漫画やアニメとはまた違った世界観の『聖闘士星矢』になりそうで、ファンの間で話題となっている。
とはいえ、原作がなじみの深い日本の作品ということで海外での実写化は期待のハードルが高くなってしまうもの。これまで作られた作品の中には、原作の伝えたいことが伝えきれていない、キャラクターの印象が異なるなどと賛否が分かれてしまうタイトルがあったことも事実。一方で、そんな原作ファンも思わず感激するような「良作」が海外の実写化によって生み出されることもある。
海外で実写化され高い評価を得た日本発の作品として最も有名なのは、2019年5月に公開され、全世界で4億3300万ドルの興行収入を記録した『名探偵ピカチュウ』のハリウッド版実写映画だろう。
原作となったゲームは、『ポケットモンスター』のアイコン的キャラクター・ピカチュウと一緒に謎を解く、ニンテンドー3DS用ゲーム『名探偵ピカチュウ』。ピカチュウはアニメで聴きなれたかわいらしい鳴き声ではなく、中年男性の声で人語をしゃべるのが特徴。これが物語の鍵を握る。
そもそも原作のゲームもジャンルが探偵モノであることから海外ドラマをほうふつとさせる音楽を多用しており、キャラクターの声優も洋画への吹き替えの出演経験の多い声優を採用していた。それがハリウッドで映画化される際に違和感なく再現されたことが、実写映画になってもファンに受け入れられた理由のひとつかもしれない。
もともと『名探偵ピカチュウ』は『ポケットモンスター』に比べ知名度がそこまで高くなかったこともあり、結末のわからない謎解きものとして純粋に楽しめたという人も多いだろう。
また当時『ポケモン』ファンからは、ポケモンがハイクオリティかつリアルに描かれ、普通に人間の生活に溶け込んでいる様子が面白いという声も多かった。眉間にしわを寄せてとぼとぼと歩く「しわしわピカチュウ」の姿は今でも愛されている。