■背負うは信念と前線の仲間の命「ザメル」
最後に紹介するのは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場したモビルスーツ「ザメル」である。
ザメルは全長27mという大きさで、長距離の支援砲撃を目的として開発された2人乗りのモビルスーツだ。重量も装備を含めれば120トンを超え、宇宙世紀のモビルスーツの中でもトップクラスの重量でありながらその移動性能は意外にも高く、作中ではガンダム試作2号機とドム・トローペンに並走する姿も見られる。
重量から見る驚くべき移動性能はもちろんだが、どっしりとした脚部と分厚い装甲に覆われた要塞のようなボディからは、砲撃特化のモビルスーツとしての威厳が感じられる。自らの信念を象徴するような背中の680mmカノン砲が放たれれば、前線で戦う勇者たちの士気を上げること間違いなしだろう。
作中では地球連邦軍の追撃を受ける形で、霧深い荒野で懐まで接近されたのが敗因となりあえなく撃破された。しかしこれが大部隊が入り乱れる戦場で、敵の接近を許すことなく砲撃を続けられたならばかなりの脅威となったのではないだろうか。
ガンダムやザクのように誰もが知るモビルスーツではないものの、唯一無二の個性を持った茶色いモビルスーツたち。一見しただけではその魅力に気付きにくいが、どのモビルスーツにも存在するべき明確な理由があるのだ。物語を華やかにする魅力あふれるモビルスーツたちを支えているのもまた、隠れた魅力を持つモビルスーツたちであることを忘れてはならない。