1983年7月に家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」が誕生し、今年の夏で40周年を迎える。以降、それぞれの時代で数々の名作ゲームが誕生してきたが、プレイヤーに恐怖を与えてきたのが場面場面に登場する敵キャラたちだ。一口に敵キャラと言っても、『スーパーマリオブラザーズ』のクリボーやノコノコのようなかわいらしいものだけでなく、「なんでこんなデザインに……」と考えてしまうような不気味な形をしたものまで様々。そうした敵キャラのあまりの怖さに、子ども時代に強い衝撃を受けたプレイヤーも多いのではないだろうか。
そこで今回はファミコン&スーファミ時代の名作から「デザインが怖すぎた」強敵たちをいくつか振り返ってみたい。
■目と口のインパクトがあまりにも凄い
まず最初に紹介したいのは、謎すぎるデザインでプレイヤーに恐怖を与えた『スーパードンキーコング3 謎のクレミス島』の「スクワーター」だ。
同作は、1996年にスーパーファミコン用ソフトとしてイギリスのレア社によって開発されたアクションゲーム。「スーパーファミコン史上最高画質」と謳われた美麗なグラフィックにより、シリーズの特徴でもある不気味さがより際立ったタイトルでもあった。
ワールド1に登場する巨大なタル型のボス「ベルチャ」も、目をギンギンに地走らせていたり「グェエエッ」とうめき声を上げたりと恐ろしい敵だったが、それにも増して子どもたちをビビらせたのがワールド3でプレイヤーを待ち構えるボス敵「スクワーター」。
ステージに入るといきなり現れるこの敵は、流れる滝の中から2つの目玉と唇だけを突き出しているというデザイン。そして連なる真珠のように水鉄砲を飛ばしてくる。
よく目を凝らすと、スクワーターは滝の中の岩に擬態しており、実は『ウルトラマン』シリーズに登場する「カネゴン」のような姿をしている。だが目玉と唇だけ、そして水鉄砲をププププと飛ばすという不気味な攻撃に戸惑った子どもは多いに違いない。
『ドンキーコング3』は当時のスーファミレベルでは最新鋭となる美しいグラフィックを売りにしたタイトル。そのリアルな世界観が、どこか不気味に見えたものだ。
■天野喜孝氏デザインの“悲劇”のボスキャラ
アクションだけでなく、ロールプレイングゲームにも数々の強敵が登場したが、『ファイナルファンタジーIV』の「エブラーナ王妃」も外せない。
同作には巨大な赤ちゃん人形「カルコブリーナ」や、機械仕掛けの頭部型の敵「フェイズ」、迫り来る壁「デモンズウォール」など、天野喜孝氏によるデザインの不気味な敵キャラが多数現れた。
そんな中でも、筆者が特に思い出深いのが『FF4』きってのトラウマイベントともいえるエッジの両親「エブラーナ王&エブラーナ王妃」との戦い。二人はゴルベーザ四天王であるルビカンテに拉致され、その手下であるルゲイエ博士により化け物へと体を改造されてしまう。戦闘の中で意識を取り戻した二人はエッジと会話をし、最後は自ら命を断つが、その見た目があまりにも怖かった。
父のエブラーナ王は巨体の野獣のようなフォルムでそれほど人間離れしたデザインではない。しかし母のエブラーナ王妃は、体が細長い蛇で、コウモリの羽のような大きな耳。顔部分とは別に、後ろにモジャモジャとした毛が生えている。そしてそれにも関わらず、顔だけはティアラをつけた美しい王妃のままというビジュアルで、ドット絵でありながらエッジが受ける衝撃を想像するに十分なデザインだった。
『FF4』はストーリーが細かく作られており、天野デザインの不気味さがバックストーリーで更に引き立つ。同シリーズでは見た目が恐ろしい敵がその他にもいくつも登場したが、エッジの両親との戦いは人体を改造されるという残酷さがより際立って見えたボスイベントだった。