■「の~みそコネコネ」をキャッチコピーに躍進したゲーム会社「コンパイル」
株式会社コンパイルは、1982年に広島県で創業したゲーム開発会社。会社のインパクトあるキャッチコピー「の〜みそコネコネ」を今でも覚えているという人も多いかもしれない。
1986年には『ザナック』など硬派なシューティングゲームで知られるようになり、1989年には3DダンジョンRPG『魔導物語』を発売。ちなみに、当時の『ぷよぷよ』キャラのほとんどが、この『魔導物語』からの出典だった。
またコンパイルが広島の会社だったことや本作の人気から、宮島の銘菓「もみじまんじゅう」のぷよぷよ版「広島(魔導)銘菓ぷよまん(通称・ぷよまん)」を製造、販売。
おまんじゅうが入った赤箱には大きなぷよが描かれ、同梱された冊子も遊び心満載な人気のお菓子だ。筆者も友人からもらい食べたが、かわいいぷよまんは甘く美味しかった。
広島を中心に「元祖ぷよまん本舗」を展開したコンパイルは、多くの『ぷよぷよ』関連グッズを販売するようになるが、遠方のファンが重宝したのが通販カタログ『ももも通販』だ。カタログにはお菓子やグッズの他にイベント情報なども掲載され、当時の通販では必須だった「振込用紙の記入例」が漫画で説明されるなど、どこを読んでも楽しめる内容だった。
■その後の『ぷよぷよ』
その後、コンパイルは1995年にオートバイレース界に一時期参入。同社のロゴ入りバイクの前では、黄色いカーバンクルの衣装でレースクイーンが微笑んでいた。このカーバンクルの衣装を着た女性たちを後にゲームショウでも見かけるようになる。
1995年からは全国を巡回する「ばよえ〜んツアー」、1996年には「全日本ぷよマスターズ」を幕張メッセで開催し1万8000人を動員させるなど、積極的にファンとの交流を図った。
この頃になると『マジカルドロップ』や『パネルでポン』などのように、キャラの可愛さや新しい要素が付加されたゲームも増えたことで、落ちゲーは『ぷよぷよ』を筆頭に最盛期となる。
ところが、大ヒットした『ぷよぷよ通(1994年)』の続編『ぷよぷよSUN(1996年)』が前作ほどの支持を得ることができず、巨額の開発費用を投入したゲームの販売不振などが続く。さらに、大々的な宣伝費や急激な規模拡大などが影響し、コンパイルは経営悪化に陥ってしまう。
1997年にセガサターンソフト『わくわくぷよぷよダンジョン』が開発難航となるなど、資金繰りに行き詰った同社は1998年3月18日に1度目の破綻、倒産。『ぷよぷよ』シリーズはセガに譲渡されたが、2002年8月まで同作の使用許可を与えられるも再建に至らず、本社移転を繰り返した後に2004年に法人格……つまり会社としてのコンパイルは完全消滅した。
『ぷよぷよ』の権利を受け継いだセガは、2001年に『魔導物語』キャラを使ったゲームボーイアドバンスソフト『みんなでぷよぷよ』を発売。2003年にアーケードゲームとして発売された『ぷよぷよフィーバー』以降は、絵柄や世界観の異なる通称「セガぷよ」と呼ばれる新たな『ぷよぷよ』が誕生する。一部の「セガぷよ」でもアルルなど『魔導物語』キャラに会うことができるのは、コンパイル時代からのファンにうれしい仕様だ。
子どものころに夢中になったゲームが、30年以上経った今なお多くのファンを、新しいユーザーを楽しませている。その後何度か口に出来たぷよまんの甘さと、コンパイルが開催していた『ぷよぷよ』イベントの熱気や楽しさを、ファンはこれからも忘れることはないだろう。