学校の先生との“禁断の恋”は、現実ではありえない設定を描くことが多い“少女漫画”において、人気ジャンルの1つだ。秘密の恋を育む彼らの前途多難な物語は、いつの時代も読者の心を掴んで離さないだろう。“ありえない”とわかっているからこそ、フィクションの世界で大恋愛を繰り広げるキャラたちに没入してしまうのが、少女漫画の魅力だ。
今回はそんな学校の先生との“禁断の恋”を描いた作品のなかから、実写映画化も果たした名作たちを紹介していこう。
■純粋な女子生徒と不器用な先生のまっすぐな恋愛が描かれた『先生!』
河原和音氏の『先生!』は、『別冊マーガレット』(集英社)で1996年から連載された。本作は2003年に連載が終了しているが、2017年に実写映画化されている。
先生と恋に落ちる高校生・島田響役を女優の広瀬すずが演じ、響と恋に落ちる先生・伊藤貢作を俳優の生田斗真が演じた本作。
主人公の響は、恋愛に疎い女子高生だ。彼女はいつも友人たちが恋愛に一喜一憂する姿を見守る役だった。
しかしある日、頼まれていた友人のラブレターを意中の相手ではない教師・伊藤の下駄箱に入れてしまうというハプニングをきっかけに、彼が何かと気になる存在になっていく響。
これが恋だと自覚した響は意を決して伊藤に告白をするが、立場的に教師である彼は告白を受け入れることはできない。
それでも響は何度も伊藤にぶつかっていき、やがて2人は結ばれる……というまさに少女漫画の“王道”のストーリーになっている。
響の純粋でまっすぐな性格もさることながら、伊藤の不器用だけど響を思う姿も本作の見どころだと思う。そして本作のラストで描かれた“2人だけの卒業式”は、長期連載を見守っていたファンにとって込み上げるものがあったのではないだろうか。
■冷たくあしらわれながらもふとした優しさに惹かれて…『センセイ君主』
幸田もも子氏の『センセイ君主』は、2013年から『別冊マーガレット』(集英社)で4年間にわたり連載されていた。
2018年に公開された実写映画では、主人公の佐丸あゆはを女優の浜辺美波が演じ、恋の相手・弘光由貴を俳優の竹内涼真が演じている。
本作は作者の幸田氏の作風でよく見られるコミカルな表現も多く、“ラブコメディー”と称されることもあるようにさまざまな場面で主人公・あゆはをはじめとするキャラたちの“変顔”も楽しむことができる。
“彼氏がほしい”という強い信念から好きな人には片っ端から告白するも、ことごとくフラれてうまくいかない毎日を送るあゆは。傷心を癒すため外食をしていた彼女は、お金を持ち合わせていないことに気づき大ピンチに陥るのだが、そのとき偶然居合わせたイケメンの男性・弘光が立て替えてくれてその場を切り抜ける。
“また会えたらいいな”と漠然に思っていたあゆはだったが、翌日、なんと自分のクラスの担任として弘光が赴任してくるのだ。
運命を感じるあゆはは、当然、弘光を気にかけるようになるが、彼は一筋縄ではいかないクセ者。冷たくあしらわれながらも、ふと見せる弘光の優しさに惹かれ、なんとか彼を振り向かせようと奮闘するストーリーになっている。
本作の見どころは、あゆはの一生懸命なところと、そんなあゆはを放っておけない弘光のもどかしい関係だろう。先生との“禁断の恋”ではよくある「卒業=結婚」という区切りを迎え、変化していく2人の関係にドキドキしたファンも少なくないと思う。