■『フルバ』『ママレードボーイ』など名作にも続編が
一方で、続編になることで、主人公が交代してしまう作品も多い。それは本編で主人公のストーリーが完結し、彼女らの抱く問題が解決しているという喜ばしい事情にほかならないが、なんだか寂しくなってしまう。
しかし物語の隅々から大好きだった登場人物たちの面影を感じると、こちらも嬉しくなるものだ。
1998年から2006年まで『花とゆめ』(白泉社)にて連載されていた高屋奈月氏による『フルーツバスケット』の続編『フルーツバスケットanother』はまさにその例。
同作は最終回から数十年後が描かれた作品で、主人公やおなじみのキャラたちはいっさい登場しない。しかし確実に彼らの子どもだろうという特徴を持つキャラたちが次々と出てくるので、いつしかさみしい気持ちも掻き消えてしまう。『フルバ』は元々登場人物がかなり多い作品だったので、子ども世代も面々も賑やかだ。
続編となりキャラクターは変わっても、高屋氏の、心の琴線に訴えかける繊細な表現は健在。つい優しい涙がこぼれてしまうストーリーに心がほっこりすることだろう。
『りぼん』にて1992年から1995年まで連載された吉住渉氏による『ママレード・ボーイ』にも、主人公の妹と弟を主人公にした『ママレード・ボーイ little』という続編が存在する。光希と遊の複雑な家庭事情をトレースしたかのような、悩める2人の恋愛模様も必見だ。こちらには光希と遊も登場するので、2人のその後が気になる人にもぜひ見届けてほしい。
最後は椎名軽穂氏による『君に届け』。連載完結の翌年に連載開始した『君に届け 番外編~運命の人~』では、『君に届け』のメインキャラクター・胡桃沢梅と同作者による前作『CRAZY FOR YOU』のキャラクター・赤星栄治との恋愛が描かれたクロスオーバー作品のような体裁をとっている。どちらも人気キャラだっただけに、作品を超えた意外な恋愛模様には読者もドキドキ。これをきっかけに、両作品をあらためて読み返したという人も多いだろう。
完結してしまった大好きな作品が「続編」というかたちで今の世の中に存在すると、懐かしさと新しさで嬉しくなってしまうもの。あなたが続編を読んでみたい少女漫画はありますか?