■筋骨隆々でヒゲが生えた女子高生
最後は、1980年から連載された宮下あきら氏が描く真の漢たちが互いに己を磨く物語『激!! 極虎一家』から。作中には筋肉隆々な男性キャラが何人も登場するが、そのなかでひと際異彩を放つ女性キャラがいた。
彼女の名前は「枢斬 暗屯子(すうざん あんとんこ)」。最強の極道を育成する「私立極道高校」で女性ながら生徒会副会長を務めている。そんな彼女の姿はまさに「宮下キャラ」そのもので、背は普通の男性より遥かに大柄で腕っぷしも強い。黒髪は長く美しくセーラー服をまとった後ろ姿につい声をかけてしまうも、ふり返った彼女の顔には立派な「ヒゲ」が生えている。
これだけでもかなりのインパクトだが、さらに驚くのがセーラー服姿で男子トイレで「立ちション」する堂々たるその姿。筆者は後にも先にも彼女以上のヒロインを見たことがない。
そんな彼女であったが学帽政(がくぼう まさ)とのタイマン勝負で、その漢気に惚れ込んでしまう。他にも自作のポエムを諳んじたり、政を救うためウェディングベールを被った姿で船をこいで駆けつけ、捨て子を救おうと奮闘するなど、見た目のインパクトとは裏腹に、魅力的な「ヒロイン」でもあった。
今回紹介した3人の共通点といえば、腕っぷしが強く破天荒ながらも「大事」な相手を命がけで守ろうとする姿が一途なこと。そんな彼女たちの姿が作品を彩りつつも、私たちの心に笑いや涙などさまざまな感情を呼び起こさせるのかもしれない。