■日本と違う選挙戦に度肝を抜かれた『アメリカ大統領選挙』

 レアなジャンルだったのが、1988年にヘクトから発売された『アメリカ大統領選挙』だ。実際の二大政党といえる共和党と民主党から候補者を選び、政策を決定して予備選と本選を戦っていくという内容になっている。

 しかも、政策がこれまた面白い。50個近い政策には「スターウォーズ計画」、「核実験の禁止」、「対ソ防衛力の相互削減(当時はソビエト)」をはじめ、現在にもつながる日本との関係では「日本車の輸入規制」「関税の引き上げ」「農産物輸入自由化要求」「商業捕鯨の禁止」などがある。(このゲーム会社は日本嫌いなのか……?)

 インターネットがない時代、当時の小学生がどれだけアメリカ大統領選挙を知っていただろうか。もしかしたら、日本の選挙すら理解していなかったかもしれない。そう考えると、これをゲームにしたチャレンジ精神は素晴らしいといえるだろう。

 ちなみに、このゲームが発売された当時、実際にアメリカ大統領選挙が行われ、共和党のジョージ・H・W・ブッシュが民主党のマイケル・デュカキスに勝利している。ゲームでも共和党に「プッシュ」、民主党に「デカキス」と一部名前を変更して登場しているのがリアルだった。

■航海の知識は船と貿易、地名の勉強に繋がった『大航海時代』

 最後は、1990年に光栄から発売された『大航海時代』だ(ファミコン版は1991年)。シリーズで発売されており、自由度の高さが面白い。

 “大航海時代”については歴史の授業で習うが、このゲームでは交易の仕組みを勉強できる。ポルトガルのリスボンから始まり、地中海から北海、アフリカへと航海を開拓していくのだ。各地で特産品が異なるので、実際の交易のように相場を見ながら利益を出すことができる。同じ港で同一商品ばかり売り続けていたら、相場が下がるのは新鮮だった。

 港を発見することやギルド(商人のようなもの)の依頼をクリアして名声や爵位を上げていき、仲間を増やして船を強化し、艦隊を編成することができる。

 中盤以降はこれまで逃げ回っていた海賊やイスパニアなどの敵艦隊と対決することも可能だ。余裕が出てきたら新大陸やアジア方面へ赴き、さらに特産品を買い集めて莫大な利益をもたらすことができる。

 しかし、油断すると食料や水がなくなって水夫が逃げ出していく。(いや、海上で逃げるなよ……)とくにヨーロッパから新大陸に行くには死活問題だった。風は強くて暴風雨になるし、流れに乗らないと方向性を見誤って漂流してしまう。

『大航海時代』は「さすがコーエー!」とも言えるほど完成度が高く、交易や船の仕組み、各港や特産品、投資といったことを学べるが、小学生にはちょっと難しいかもしれない。

 

 紹介してきたゲームはファミコンでは当時小学生だと厳しい内容でも、大人になってから理解できる内容が多かった。幕末の知識が増えている今の時代に、『維新の嵐』などはまたやってみたい。

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