■引きこもりの少年の夢と現実を描くRPG
最後に紹介するのは、2022年にコンソールに移植された『OMORI』です。発売は2020年の終わりだったのですが、私は今年プレイし、2022年No.1に勝手ながら認定させていただきました。明るく元気な作品ではまったくないし、爽快感といったものとは無縁ですが、RPGとしての完成度は非常に高く、何よりゲームの世界観とストーリーが私の好みにドンピシャでした。
本作はアメリカのインディーゲームスタジオが手がけた作品なのですが、タイトルを「引きこもり(HIKIK“OMORI”)」からとられていることからも分かるように、日本の作品に大きな影響を受けています。また、「うつ病」をテーマにしている重たいゲーム内容ながら、カラフルな色遣いとポップなデザインセンスで彩られる世界なども含めて、『アンダーテイル』に似ている部分も多い作品です。なので『アンダーテイル』が好きな人であれば魅力を感じる点も多いでしょう。
いわゆる見下ろし型のフィールドで、むちゃくちゃな夢の世界の話を現実の世界で補完しながらストーリーを進めていきます。主人公のオモリとサニーが何を思い、何に苦しみ、仲間たちとどう接していくのか。話を進めるほど、真実に近づくほど、胸を締め付けられるような悲しみと恐怖心が襲い掛かってくるのですが、なぜだか先を知りたくなってしまう、まるで「妖魔」のような魅力を備えた作品でした。
バトルシステムはいわゆるターン制で、パーティシステムのRPGをプレイしたことがある人であればすぐに理解できるシンプルなものですが、このゲーム独自の「感情」システムによってオリジナリティと「少年少女たちの未成熟感」を表現しています。
感情はいわば「属性」のようなもので、「にこにこ」「しょんぼり」といった感情が戦闘中の行動によって変化する場合があり、ステータスや弱点が都度変わっていきます。
なかなか操るのが難しいのですが、プレイしていけばある程度慣れるのとレベルを上げればどうにかなるので、シナリオクリアまでにそこまで苦労はしません。RPGが苦手な人でも、複雑な設計はないので入りやすいでしょう。ストーリーはめちゃ重いですが……。
インディーのRPGながらボリュームはかなり大きく、価格は2000円以下で買えるというお得感もこの作品の魅力。ホラーと称されることもある作品ですが、人の「死」に抵抗がなければぜひプレイしてその感想を聞かせてほしいです。本当にいろいろ考えさせられますよ……。
ということで、この年末年始にぜひプレイしてほしい作品を3本ご紹介しました。年末年始になんてもん紹介してんだ、というほど暗い作品も含めた選出となってしまいましたが、2022年にプレイした作品の中でとくに面白かった作品なのでご容赦いただければと思います。
みなさんは2022年、どんなゲームが印象に残っていますか? 来年も素敵な作品に出会えることを祈りつつ、今年のゲームを振り返ってみるのもよいかもしれませんね。