■「10年に一度の豊作」だった秋アニメ

 振り返ると、春アニメもかなりの名作揃いだった。

 2022年7月期には、『メイドインアビス 烈日の黄金郷』『リコリス・リコイル』『よふかしのうた』などがヒット。

 そして何より、8月6日より公開された『ONE PIECE』の映画最新作『ONE PIECE FILM RED』が日本中を熱狂させた。今作のキーパーソンとなる歌姫・ウタの歌唱パートはAdoが担当し新たなファン層を獲得に成功。彼女の楽曲である「新時代」「私は最強」「逆光」などはカラオケでもランキング上位に君臨する人気曲となった。

 またウタは第73回紅白歌合戦に紅組歌手として出場。アニメキャラクターが紅白に歌手として出場するのは史上初となる。

 そして「10年に一度の豊作」と名高いのが10月期の秋アニメたち。

 ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は女性を主人公とし、過去の『ガンダム』シリーズを全く知らなくても楽しめる点や、視聴者が共感しやすい内容やキャラ同士の関係性が大きな支持を集めた。

 先述した『うる星やつら』や『BLEACH 千年血戦篇』はもちろんのこと、話題を集めたのは『チェンソーマン』。『週刊少年ジャンプ』に連載されていた藤本タツキ氏による漫画が原作で、チェンソーの悪魔となった主人公・デンジが公安の仲間とともにさまざまな敵と戦いを繰り広げるダークファンタジー。

 少々グロテスクな内容が目立つが、米津玄師によるオープニングテーマ曲「KICK BACK」のスタイリッシュさや映像美、さらにエンディングは毎回異なったアーティストが務め映像・演出も週替わりになっているという、製作陣の愛の強さを感じる豪華アニメとなっている。

 そして12月3日には映画『THE FIRST SLAM DUNK』がいよいよ公開された。前売券発売後にメインキャラの声優がテレビ版から変更されることが発表されるなど、ファンの間では一時の混乱もあったが、蓋を開けてみれば宮城リョータの過去をうまくストーリーに絡めた会心の出来に。リアルタイムの読者ではない新規ファンも多く獲得した。

 映画のヒットを受け、原作のまとめ買いやテレビ版のアニメをイチから見直す人も急増。年末年始はこの熱狂がますます勢いづきそうだ。

 盛りだくさんだった2022年。2023年冬アニメでは、すでにNetflixにて先行配信されている『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』が地上波アニメで遂に完結する。『ウルトラジャンプ』2023年3月号からは『ジョジョ』シリーズ第9部となる「The JOJOLands」の連載が開始されることもあって、さらに話題となるだろう。

 また実写映画化もされた『東京リベンジャーズ』は2021年に放送されたアニメの続きとなる「聖夜決戦編」が開始するなど、続きものに注目する時期となりそうだ。このほか2023年には『【推しの子】』『進撃の巨人 The Final Season 完結編』などの放送も控えている。来年もアニメ漬けの日々になりそうだ。

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