『るろうに剣心』や『パーマン』にも…漫画の主人公に訪れる“壮絶な挫折”からの胸アツな復活劇3選の画像
劇場版『るろうに剣心』 維新志士への鎮魂歌 [Blu-ray](アニプレックス)

 漫画では、主人公が壁にぶち当たって立ち直れなくなるような「挫折」の場面がたびたび見られる。そこから、周りの励ましだったり、なんらかのきっかけを経て、主人公が立ち上がる復活劇には読者も思わず応援をしたくなってしまうだろう。

 悲惨な状況に落とされれば落とされるほど、その後の展開は盛り上がりを見せる。そこで今回は、まさに「逆転劇」のように復活を遂げた主人公が登場する作品を紹介していこう。

 

※以下には、コミック『るろうに剣心』『うしおととら』『パーマン』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。

■最愛の人を奪われる…『るろうに剣心』緋村剣心

 絶望的な展開を迎えたことで知られているのが、実写映画もシリーズ化されているほどの人気を誇る、和月伸宏氏の『るろうに剣心』(集英社)の主人公・緋村剣心だ。剣心は「人斬り抜刀斎」として幕末に活躍した剣客で、新時代の幕開けのために古流剣術である“飛天御剣流”を使い多くの人間を斬り倒してきた。

 剣心によって家族や恋人を奪われた者は数しれず……そのなかのひとりが雪代縁だ。縁は剣心の妻だった女性・雪代巴の弟で、剣心の戦いに巻き込まれて巴が死んだことをきっかけに剣心への復讐を誓う。そして、準備が整ったことで縁の人誅が開始されることになった。

 縁は神谷道場を襲撃。剣心たちが鯨波兵庫に気を取られているなか、神谷薫を標的にしたフリをして薫にそっくりな人形を刀で突き刺し死を装う。その姿を見た剣心たちは、薫が死んだと勘違い。剣心は絶望へと叩き落されることになるのだ。

 それから剣心はすべてを捨てた人間が集まる落人群へと流れ着き、逆刃刀を鎖で巻きつけ封印すると、完全に心を閉ざしてしまった。相楽左之助が薫の仇討ちに誘うも「もう いい…」「もう 疲れた…」と返すのみ。そして、誰の言葉も聞き入れずに、ただ自らの過去とずっと向き合う日々が続いた。

 そんなとき、収監されていた鯨波が暴走して脱獄を図ると、一人で立ち向かった明神弥彦が窮地に立たされることになる。三条燕は弥彦が殺されると思い、剣心を必死に説得すると彼は燕の「助けて…」の言葉に反応した。

 自分を必要としている人間のために剣を振るうことこそが自らの使命だ!と気づき、立ち上がったのだ。剣心は弥彦のもとへと向かい鯨波を九頭龍閃で倒す。そして「新しい時代に生きてくれ」と話すのだが、このとき迷いは消え去っていた。

 絶望のなかから剣心が復活して縁との決着をつけようとする姿を、誰もが待ち望んだはずであろう。

■唯一の希望である獣の槍の破壊…『うしおととら』蒼月潮

 胸アツな復活劇というと、藤田和日郎氏による『うしおととら』(小学館)も外せない。主人公・蒼月潮は白面の者を倒すために作られた、唯一の武器である「獣の槍」を扱える人物だ。そして、旅の道中に妖怪や人との出会いを経て、“白面の者”への戦いの準備を整え最終戦を迎える。

 しかし、そのときの潮は相棒のとらと仲違いをしてしまい、心穏やかではない。それによって力は半減し、憎しみを持って白面の者と戦ったことにより、憎しみを糧とする白面の者の力を増幅させてしまうのだ。

 すべてが空回り状態の潮は獣の槍の力を発揮することもできず、挙げ句の果てに槍を破壊されてしまう。これには、潮だけではなく見守っていた人間や妖怪たちまでもが絶望へと叩き落された。そんななか、潮は獣の槍の記憶を感じ取るのだ。

 そこには、かつて白面の者にすべてを奪われたとらの人間のころの姿があった。そして、とらの苦悩を知ることで、潮は再び立ち上がることを決意したのだ。

 砕けた獣の槍は多くの人間や妖怪の失われた潮の記憶を呼び起こし、皆が希望を抱くことで本来の槍の形を再び取り戻す。さらに潮ととらの協力態勢が取れたことによって、白面の者と再戦することもできた。

 そのときの潮は白面の者に憎しみなどを抱かず、ただ記憶を取り戻したみんなと戦える嬉しさしかない。喜びに満ちた潮の復活劇には、清々しさを感じてしまった。

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