■命がけの修羅場で昔の男を選ぶ!?『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』ニナ・パープルトン

 一癖あるヒロインがたびたび登場することでも知られるガンダムシリーズだが、その中でも屈指の魔性のヒロインといえば、OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場したニナ・パープルトンが思い浮かぶ。

 ガンダム試作1号機・2号機を開発するアナハイム・エレクトロニクスのシステムエンジニアである彼女は、自分の担当しているガンダムに対しての思い入れが非常に強く、アナベル・ガトーに2号機が強奪された後も、1号機とともに戦艦アルビオンで追撃任務に加わる。

 主人公のコウ・ウラキに対して物語序盤では全く興味を示しておらず、むしろガンダムを損傷させようものなら「私のガンダムが!」と叫んでいたほどで、ガンダムのことしか頭になかった。

 しかし、コウがもともとMSオタクだったこともあり、その操縦技術が上がっていくとともに、ニナはコウに対して恋愛感情を持つようになっていく。

 ところが、ニナにはガトーと元恋人であるという重大な秘密があった。

 コウに惹かれながらも、今は敵であるガトーと戦うコウを見て苦悩するニナだが、最終話である第13話では、落下するコロニーの中で3人が出会ってしまう。ここでニナは、ガトーを撃とうとするコウを制止して、なんと逆にコウに銃口を向けるのだ。さらにガトーとともに行こうとするが、拒絶され置いていかれる。

 その場限りの感情を優先する奇妙な振る舞いは、まさしく悪女の呼び名にふさわしいものではあるが、後に書かれた小説版では、この行為は裏切りではなく、コウに罪悪感と後悔の念を持って欲しくないという思いからの行動だったのではないか、という記述もあり、解釈の余地があるということは付け加えておきたい。

 しかし、結局ガトーは宇宙に散り、戦いが終わってコウがオークリー基地に降り立つシーンでは、ニナはコウとの再会を喜んでいて、その心情はやはりうかがい知ることができないものがある。純朴なコウにとっては、やはり魔性のヒロインであったと言えるのではないだろうか。

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