『めぞん一刻』に『機動戦士ガンダム0083』天然なの?魔性なの?…主人公とファンまでも翻弄した名ヒロインたちの画像
ビッグコミックス『めぞん一刻』新装版第1巻(小学館)

 魅力的なヒロインは、物語を彩るキャラクターとして漫画やアニメに欠かせない要素である。作品を楽しむファンの中には、漫画やアニメに登場するヒロインにのめりこみ、本当に恋してしまった人もいるのではないだろうか。

 そんなヒロインにも、いや、ヒロインだからこそ、男性主人公を魅了し、翻弄してしまう魅力を持ったキャラクターが多く存在する。それがいわゆる「天然」なのか、それとも「魔性」とでも言うべきものなのかは、見方にもよるだろう。今回は、そんなヒロインたちから、特に魔性を感じる3人を紹介したい。

■よく言えば奥手?男をじらし続ける魔性の女『めぞん一刻』音無響子

 まずは、漫画家・高橋留美子氏の代表作のひとつで80年代を代表する漫画『めぞん一刻』(小学館)のヒロイン、音無響子を挙げたい。『めぞん一刻』は、一刻館という古いアパートの管理人としてやってきた美しい未亡人である響子と、一刻館に住む世渡り下手な浪人生・五代裕作の2人が織りなすラブストーリーだ。

 一刻館に住み始めてすぐに五代は響子に好意を寄せるが、第2話でいきなり響子の胸を触ってしまい、響子は思わずビンタしてしまう。このビンタは響子と五代の関係性の中で、何度もくり返し登場することになる。 

 物語の転機を迎えるビンタが登場するのは、第9話「アルコール・ラブコール」。五代は酔っぱらった勢いで響子に「私こと五代裕作は響子さんが好きでありまーす」と告白して、あろうことか部屋に連れ込み押し倒してしまう。 

 このときから響子は五代を意識するようになるが、次の日にはそのことを忘れていた五代をまたもやビンタしてしまう。その後、響子に好意を寄せ猛烈にアプローチしてくるイケメンテニスコーチの三鷹瞬の登場により、響子は五代と三鷹の2人の想いの間で悩み続けることに。 

 亡き夫・惣一郎への思いも持ち続けていた響子が、煮え切らないままどっちつかずで2人に接し続けている姿は、奥手過ぎるとも言えるが、まさに魔性の女でもある。 

 とはいえ、五代のガールフレンドに嫉妬したり、喧嘩して無視を決め込んだりと、客観的にはどう見ても響子は五代を意識しているのが明らかなのだが、結局物語が終盤を迎えるまでずっと自分の気持ちを隠したままで、なかなか2人の仲が進展しないのに読者はやきもきしたものだ。 

 最終的には2人が結ばれてハッピーエンドを迎える物語だが、序盤からずっと響子が好きだった五代の気持ちを知りつつ、響子は結果的にかなりの長期間にわたって焦らし続けていたわけで、あらためて振り返るとなんとも罪作りな話である。そんなどうにも“面倒くさい女”然とした態度には、一刻館の住人である朱美さんも「ろくに手も握らせない男のことで、泣くわ わめくわ、どうなってんの」と苦言を呈したほどである。

 まさに“天然かつ魔性”のヒロインの代表格であると言えるだろう。

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