令和を生きる現役高校生でもファミコンの「対決ゲーム」には盛り上がりを隠せなかったようだ。
それは先日のこと。高校1年の息子は、たまたま自宅へ遊びに来ていた友人と「最近のゲームはストーリーが濃すぎて本編までが長い」なんて愚痴をこぼしていた。ならば、お節介ながらお膳立てをしてやろう……ということで、対決で盛り上がるファミコンゲームを息子とその友人とで遊んでもらうことに(本当にお節介)。結果、想定外に盛り上がったのでその時のエピソードを紹介しよう。
■協力するか殺し合うか! 一瞬の判断で相手を置き去りにする『アイスクライマー』
まずは1985年に発売された『アイスクライマー』(任天堂)。今でも対決ファミコンゲームとして名が挙げられる名作アクションゲームだろう。協力プレイが基本なのだが、実はこのゲームのシステムは対決にもってこいなのである。
ゲーム自体はシンプルだ。2人が青と赤に分かれ、ジャンプしながらブロックをハンマーで崩して頂点を目指すというもの。スタートボタンからすぐにゲームが始まるので、息子の友人はテンションが上がっている。ちなみに息子は青で、友人は赤だった。
2人に簡単なルールを説明すると、すぐにブロックを崩してペンギンを叩きながら上を目指し始めた。「簡単だね」と息子が言うが、8段目まで登ってから異変に気付く。「あれ? 崩せないじゃん」と。
そうなのだ。途中から崩せないブロックが出現し、これが2プレイだとやっかいになる。「隙間からジャンプするのか」と、友人は器用に上がっていく。
「なんかいる!」友人が気付いたのは、ボーナスゲームに入った野菜の“ナス”のことだ。友人はナスを取らずに横スクロールする雲に上手にジャンプして乗り、上へと駆け上がる。
息子も何とか追いついたが、床に滑りながらジャンプすると雲に頭がぶつかってしまう。「すり抜けないの?」と驚いた友人。「早く来いよ」と、待ってて登らせようとするが、ついブロックから滑り落ちてしまった。息子がジャンプすると2人が交差し、友人は頭を踏んでブロックに戻ったものの、息子は落ちていく。
そして、2人はそこで気付いた。「なるほど、邪魔できるのね……」友人の目が光った。
友人は息子を置き去りにして頂上へ駆け上がり、息子はスクロールされていった。その後30分以上、2人で邪魔し合いが続いていった。
■友情とは殴り合った先にある!『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』
興奮冷めやらない2人をなだめ、次のカセットを用意した。1990年発売の『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』(テクノスジャパン)だ。「そんな乱暴に扱うの?」友人はカセットの交換に驚きつつ、「へー基盤に直で差し込むんだ」と納得。さすがは工業高校の機械科といったところか。
このゲームは運動会とはいうものの、登場するキャラ「くにお」や「りき」を操作して相手を出し抜くバトルゲームだ。操作説明はなくともすぐに入り込める柔軟さは、さすがは現役高校生。息子は熱血高校を選んだが、友人は冷峰学園と抜け目ない。
フライングだけはしないように注意し、クロスカントリーからすでにバトル勃発。お互いにCPUには負けても構わないが、「くにお」(息子)と「もちづき」(友人)は互いを邪魔することしか考えていない。手にしたアイテムをすぐに投げつけていくあたり、もう敵対関係だ。
中盤のマンション壁登りでは、先に手をかけた友人を横から攻撃!「このやろう!」と倒れた友人もすぐに起き上がって邪魔をする。いやいや二人とも早く登れよ。なぜか用意されてある爆弾を投げつけるあたり容赦ない。最後のバトルロイヤルではCPUを息子に攻撃させるように動き、後ろから飛び蹴りをする友人。「くそ!」と息子。戦術は友人が一枚うわてか……。
それにしても盛り上がっている。ボタンの連打が凄い。この光景は筆者の時代と何ら変わりないな。