■想像が広がる……ラストの海辺での幽助と螢子のやり取り

 ラストで描かれた海辺での幽助と螢子のシーンも、読者に想像させる余地があって味わい深い。

 最終話、諸々の出来事がきれいに片付いた後、幽助たちは幻海の墓参りに行く。その後、海辺に行って皆で夕暮れ時の絶景を楽しんでいたとき、螢子は桑原たちから幽助のとある“秘密”を明かされる。

 それは直前に霊界で起きたテロ事件で、幽助が異次元砲解除のため3つのボタンのなかから正しいものを選ばなければいけなくなったときのこと。ボタンは赤青黄の3色だったのだが、幽助は螢子が好きな色である青を選んだ。しかも敵が語った“神の意志”にかけて、「あっちが神ならこっちは女神だ」と言ってみせたというのだ。

 秘密を聞いた螢子は思わず、浅瀬に立って夕陽を眺めていた幽助に駆け寄り、後ろから思いきり飛びついた。螢子が幽助に飛びつくまでの一連のシーンで、彼女の表情や動きはほとんど描かれていない。足元や手元、脱ぎ捨てられる靴、そして驚いたような顔をする周囲の反応から、何が起こっているかを察せられるのみだ。

 螢子がどんな顔をして、どんな勢いで幽助のところへ向かっていったのか、詳しく描かれていないからこそ、あれこれ思い描けるのが良い。その後、水をかけあってはしゃぐふたりが、これ以上なく楽しそうな顔をしているのにもぐっときた。ちなみにアニメではこのシーンでキスをしているのだが、そちらはそちらでまた別のよさが感じられる。

 

 作中で細かく描かれていない、いわば“余白”の部分にも魅力がある『幽☆遊☆白書』。正解がわからないからこそ、読むたびに違う想像ができるのが嬉しい。ぜひこの機会に、描かれていない部分にも思いを馳せながら本作を読み返してみてはいかがだろうか。

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