■『ドラクエ』首位でも世代間ギャップ…? “生みの親“の堀井雄二氏に聞く
一方で、我が子に遊んでほしいと思うゲームについて、「そういうゲームはない」34.7%、「わからない」34.8%という具合に積極的に勧めたいゲームがないとする回答が大勢を占めた。その背景には、親世代と令和の子どもたちの“世代の壁“がありそうだ。
実際、ふたまん+が2022年10月18日に配信した記事、<令和の高校生が『ファミコン版初代ドラクエ』をやってみた結果…コントローラーを放り出した衝撃の理由とは>でも、そのことが浮き彫りになった。主人公が常に前を向いている、会話をするのにコマンドを開いて方角を指示する、といったファミコン版の初代ドラクエならではとも言えるゲームシステムに不満を抱く子どもの本音が伝わってきたのだ。
こうした世代間ギャップ——昭和と令和の“ゲームの壁“について、ドラクエの生みの親・堀井雄二氏に聞いたところ、「やっぱり時代ですよね」と笑ってこう言った。
「当時のファミコンは容量も少なくて、グラフィック的にもチープなものしか出せない中、なんとかロールプレイングゲームを作ろうと色んな工夫をしたんです。64キロバイトの中に、音楽とグラフィックも入れてね。当時はキャラクターも前しか向けなかった。そういう歴史がありました。でも、今のゲームのキャラクターはちゃんと横も向くし、グラフィックもきれいだし、レベルアップも早い。いろいろとわかりやすくなっていますしね。ファミコン世代の子どもたちはゲームを何本も買うほどお金がなかったから、1本でどれだけ長く楽しめるか、難しくて面白いのが良かったんです。その達成感が思い出に残ったものでしたが、そこは今と違いますね」
堀井氏自身も変わったという。「その高校生じゃないけど、子どものころ好きだった漫画を当時の思い出で読み返すと“テンポが悪い“んですよ」と続ける。
「つまり僕自身も“現代の感覚“になっているんですね。昔のテレビドラマを見ても、本当にテンポが悪い。世の中、どんどんスピード感やリアル感が増しているんですね。ツイッターやTikTokにしたって一種の冒険をしているようなものだと思う。そういう装備をしてネット世界に出る。いろんな反応が返ってきて、それを楽しんでいる。あれは遊びなんだと思いますね。それに、昔はゲームは“やるもの“でしたが、今は“見るもの“にもなってきている。ゲーム実況動画のように、面白くゲームを見せる人が作る人よりも稼いでいる時代ですからね。そういう背景があり、そういうユーザーが多いということも、ゲームの作り手として考えなければならないと思っています」
我が子に「ドラクエを遊んでほしい」と回答した親たちは、堀井氏が手がけるリメイク版や最新作なら令和の子どもたちにも存分に楽しんでもらえそうだ。