■顔が簡単に書ける? もはや整形もいらない驚異のひみつ道具

 現実の世界ではあり得ないことが簡単に実現するのが、ドラえもんの世界である。
コミックス8巻「消しゴムでノッペラボウ」では、ひみつ道具でのび太を含めた登場人物の顔がノッペラボウになるという衝撃の姿が描かれている。

 のび太は絵がうまいクラスメイト・五郎くんが描いたような美男子になりたいと願い、ひみつ道具の「取り消しゴム」と「目鼻ペン」によって、顔を書き直すことにした。ちなみに、「取り消しゴム」で顔をこするとノッペラボウになり、そこに「目鼻ペン」で好きな顔を描くとその顔になれるという仕組みである。

 しかし、ドラえもんの腕では子どもが描いたような不細工な顔になってしまう。そこで、のび太は五郎くんの家へ行き、「目鼻ペン」で顔を描いてもらった。たちまち美男子になったのび太を見て、しずかも思わず「どなた?」と言ってウットリしてしまうほど。

 そこへジャイアンとスネ夫がやってきて自分たちも顔を書き直してもらいたいと、みんなで「取り消しゴム」でノッペラボウになって五郎くんの家におしかけるのだが、出てきた五郎くんは指をケガしてしまって当分絵が描けなくなっている……というオチで締められていた。

 断られたノッペラボウのドラえもん・のび太・スネ夫・ジャイアン・しずかが、このあとどうやって顔を戻したのかも非常に気になるところである。ちなみにノッペラボウなので、口もなく当然喋れない設定になっているようだ。

 

 ドラえもんのひみつ道具には、思わずクスっと笑ってしまうようなユーモア溢れるアイテムがたびたび登場している。どれものび太を助けるひみつ道具としてはイマイチかもしれないが、作者の藤子・F・不二雄氏の世界観が楽しめて、個人的に大好きなアイテムばかりである。

 リアルな世界ではあり得ない驚愕の姿に変身させてくれる、ドラえもんのひみつ道具。私たち読者を楽しませてくれる奥深いアイテムだとあらためて思う。

  1. 1
  2. 2
  3. 3