■「分かいドライバー」でのび太の手足がバラバラに…!
数あるひみつ道具のなかでも、もっとも危険な道具に入るであろう「分かいドライバー」。その名のとおり、触れただけでなんでもバラバラに分解してしまうという危険な道具である。
壊れた時計を分解しようとしているのび太にドラえもんが出したのが、この「分かいドライバー」だ。触れただけで時計はバラバラになってしまい、怒りながらもさらに必死で直そうとするのび太。
そこに、のび太のママの「手をかして」と呼ぶ声が。それどころじゃないのび太は無視していたのだが、さらに怒るママにドラえもんは仕方なくのび太を分解し、手だけ持ってママのところへ行く。ヒクヒクと手だけが動く様子を見て、ママは気絶してしまった。
その一方、バラバラにされたのび太は自力でもとの姿に戻ろうと頑張っていた。しかし、顔と胸・お腹はくっついたものの、左腕部分に一方の足が、上半身にもう一方の足がくっつくというホラーな姿に。
「これはこれでおもしろい」と分かいドライバーを持って出かけたのび太は、その奇妙な姿のまま町中の猫や犬、ジャイアンまでも分解して身体を交換したりとやりたい放題。ドラえもんは放っておけず、残ったのび太のもう一方の腕とお尻部分をくっつけて、のび太の本体を手分けして探す。
そのころ、のび太から取り上げた分かいドライバーを使って、ジャイアンも車や自転車を分解して持ち主たちに追いかけられていた。そこに現れたのが、のび太の右腕とお尻部分。犯人だと考えた持ち主たちは「あれを人質にとろうではありませんか」と企てる。
結果的に無事に帰ることができたのび太だが、その後、ドラえもんに「歯をみがいてきてよ」と自らの頭を差し出す画で締めくくられていた。
体がバラバラになっても血が一滴も出ることがなく、一部分として動かせるその描写はまさにシュールそのもの。さらに、その姿を見ても驚く様子を見せない数々の登場人物たち……。
これは藤子・F・不二雄大全集『ドラえもん』18巻に収録されているエピソードだが、カオスな展開すぎるからか、未だにアニメ化はされていないようだ。「分かいドライバー」自体は悪役が用いるために登場したりしているらしいが、いずれにせよ、知る人ぞ知るエピソードの一つだと言って良いだろう。