四次元ポケットから出されるさまざまなひみつ道具で、のび太のピンチを救ってくれるドラえもん。しかし、ひみつ道具のなかには使用するととんでもない姿になるアイテムも多くある。
たとえば、ジャイアンが「きれいなジャイアン」になって登場する「きこりの泉」はファンの間でも有名なエピソードで『藤子・F・不二雄ミュージアム』に可動式オブジェが展示されるほど人気を博している。
しかしジャイアンのように、驚愕の姿に変身させるひみつ道具はこれだけでない。ここでは、ドラえもんのひみつ道具によってとんでもない姿に変身してしまったキャラたちを紹介しよう。
■劇画タッチののび太やママ、美少女級しずかちゃんが登場する「うそつきかがみ」の回
ドラえもんのキャラたちが、まるで少女漫画に登場するようなキラキラした劇画タッチの姿で登場したのが、コミックス2巻「うそつきかがみ」だ。
ある日、のび太がふと鏡をのぞき込むと、そこには見たこともない美男子の自分が映っていた。まつ毛が長くて目がぱっちり。いつもの丸メガネまで知的に見えるようなデザインのものに変わっており、のび太が「世界一の美男子じゃないかしら」と喜んでいると「あなたさまは、世界一なのです」と、鏡が突然しゃべりかけてきた。
実はこの鏡は、わざと美形な姿を映してお世辞を言って信用させ、人を騙してブサイクにさせるひみつ道具「うそつきかがみ」だったのだ。ドラえもんはそそくさと鏡をしまうも、のび太は「あれこそ自分の真実の姿だ」と思い込み、もう一度カッコ良い自分の姿を見たいと思い始める。
その直後、遊んでいたドラえもんはママの三面鏡を割ってしまい、仕方なく「うそつきかがみ」を貸すことに。ママが鏡を見ると、これまた美人すぎる自分の姿が映っておりウットリ。“髪をちょんまげにしたらさらに素敵”とおだてられたママは、そそくさと美容院へ出かけて行ってしまう。
そんな調子で、「うそつきかがみ」は次々と人を騙していった。のび太が外に置きっぱなしにしていた鏡を偶然見かけたしずかも、劇画タッチの美少女に変身。“言うとおりにすれば、世界一になれる”と、鏡のアドバイス通りに頬を手でつまんで顔の中心に寄せ、鼻に指を突っ込むひどい姿で誰かに顔を見てもらいに行こうとする始末。
最終的にのび太をはじめ、しずかやスネ夫、ジャイアン、そのほかの友達まですっかり鏡の虜になってしまい、自分に見入って家に帰ることすら忘れてしまうこのエピソード。見慣れたキャラが劇画調で描かれているのは、ある意味新鮮だった。
ちなみにアニメ版の「うそつきかがみ」の回では、背がぐんと伸び、すらっとした体型で胸筋まである八頭身のドラえもんの姿が描かれており、それを見た視聴者から「神回確定」「破壊力がすごい」などと騒がれていた。