今から27年前の1995年の11月11日に、スクウェアからスーパーファミコン用RPG『ロマンシング サ・ガ3』が発売されました。
骨太すぎる難易度でなかなか初心者向けとは言い難かった『ロマサガ』シリーズにおいて、かなり遊びやすいことでも知られる同作。ということで今回は、2019年11月11日にリマスター版が発売され、より遊びやすくなった同作について私ヤマグチクエストがその魅力を振り返っていこうかと思います。
■サガシリーズの導入編として優秀な『ロマサガ3』
RPGといえば『ドラクエ』『FF』が主流だった時代に、複数のメインキャラクターから任意の主人公を選んで進めるフリーシナリオシステムを筆頭とした「自由度の高さ」が、ロマサガの最大の魅力でした。
しかし、初代『ロマサガ』はあまりにも難しく、多くのRPGプレイヤーが文字通り「詰み」ました。なぜかというと、戦闘回数によって時間が経過し、敵が強くなっていくためです。これはRPGに慣れ親しんでいるプレイヤーほど陥りがちな罠で、しっかりとゲームの特性を理解せずに、「まずは雑魚敵を倒してレベル上げだ!」とコツコツ倒しているうちに詰んでしまいます。そもそもレベルという概念がなく、非常に難しい作品だったといえるでしょう。
そんなロマサガのとっつきにくさを幾分かマイルドにしつつ、「自由度の高さ」を損なわずに遊べるのがこの『ロマサガ3』でした。
それではあらすじを紹介しましょう。
600年前、「死食」という死の星が太陽を完全に覆い尽くしてしまう現象が起こり、この年に生まれた生命すべてを死に至らしめましたが、唯一1人生き残った赤子がいました。
この赤子は死の定めに魅入られて「魔王」となり、世界を混沌に陥れて崩壊させてしまいました。そして300年後、再び「死食」が起こり、またしても1人生き残った赤子がいました。
この赤子は苦難の運命を乗り越えて成長して「聖王」となり、混沌に陥っていた邪悪な世界をすべて打倒し、平和をもたらします。そして、今3度目の「死食」が世界を襲いました。今回生き残った赤子は「魔王」か「聖王」か……。
物語の舞台はそれから15年後の世界。8人の主人公を選んで、世界の命運を握る「宿命の子」を巡る物語を紡いでいく、というのがこのゲームのあらすじです。なんておもしろそうなんでしょう。
主人公が8人いるのでストーリー展開はそれぞれに異なるのですが、ロマサガのいいところは仮に同じ主人公を選んだとしても、全く異なる展開を楽しめるというところです。
たとえば、主人公の1人であるユリアンは、勇敢でちょっと激情型の素直な青年で、幼なじみのエレンに恋心を抱いている描写がオープニングに入ります。
このユリアンを主人公に選ぶと、最初のイベントの後でロアーヌ城の姫君であるモニカの護衛になってくれないか、という依頼を受けます。これはその前のイベントで、モニカを救い出したことによる他薦(モニカも含む)なので、ユリアン自身でYesかNoを選ぶことができます。
つまり、姫君であるモニカとの旅を選ぶか、エレンへの愛を貫くか、はたまた……といったさまざまな展開を最初のイベントの時点でもう選べるのです。
もし、ドラクエであれば、モニカの護衛になってくれと言われて「いいえ」を選んだ場合、「…ん?俺の聞き間違いかな…?もう一度聞こう」などと無限ループに入っていたことでしょう。
もちろん、どちらがいいとか悪いとかいうことではありません。この自由度の高さこそがロマサガの特徴なんです。どの主人公を選んでもラスボスこそ変わりませんが、進行は全く異なるし、エンディングも条件によって多数の分岐がある。1本のソフトで何時間も楽しめる味わい深い作品になっているのです。