漫画のなかには、人間の能力を遥かに超越したとんでもないポテンシャルを持つ「超人」とも呼べるキャラクターが登場する。その高い実力を示すため、さまざまなとんでもないシーンが描かれるのだが、規格外すぎて「本当に?」と目を疑ってしまう場面も少なくはない。今回はそんな漫画作品における「超人」たちの“トンデモ描写”について紹介していこう。
■男塾塾長には宇宙空間も無問題!?『魁!!男塾』江田島平八
1985年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された『魁!!男塾』には多数のキャラクターが登場するが、なかでも“最強”といえば男塾の頂点に立つ「塾長」こと江田島平八の名が挙がるだろう。数々の逸話を持つ彼だが、終盤で見せたあるエピソードは彼の人間離れした力を強く印象付けている。
敵組織に拉致されて人工衛星に閉じ込められ、宇宙空間へと隔離されてしまう江田島。目を覚ました彼は、偶然近くを飛んでいたNASAのスペースシャトルを発見し、なんと人工衛星を飛び出して宇宙空間を生身で泳ぎ、スペースシャトルへとたどり着いてしまうのだ。
これだけでも十分人間離れした描写なのだが、ここで終わらないのが男塾塾長というもの。シャトル内の空気と燃料に自分を乗せる余裕がないと知るや否や、彼は宇宙服を身にまとい、体を鎖でシャトルに縛り付け、そのまま大気圏に突入してしまったのだ。
火傷こそ負ったものの、結果的にぴんぴんした姿で江田島は地球に帰還する。宇宙空間という大きな障害をものともせずに己の身一つで乗り切ってしまった江田島……間違いなく屈指の超人エピソードだろう。
■尖がり具合も地上最強!!『刃牙』範馬勇次郎
数々の「最強」を冠するキャラクターを語るうえで、やはり『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて現在も連載されている人気格闘漫画『刃牙』シリーズは外せない。なかでも、“とある日常シーン”の一コマが、劇中最強とされている存在・範馬勇次郎の超人っぷりを物語っている。
隅田川で行われていた花火大会にて、人でごった返していた橋の欄干に突如落雷が降り注ぐ。ブロンズ像を目掛けて落ちた雷は観客を傷付けることなく、近くを歩いていた一人の男の体に流れ、そのまま散ってしまった。そう、これはなんと範馬勇次郎が「避雷針」となったことで周囲の人々が無傷だった……という、トンデモエピソードなのである。
ちなみに、落雷の電圧は約1億ボルトと言われている。生身の人間に当たれば、当然命の保証はない。それなのに、その直撃を受けてなお全身から煙を立ち昇らせ、勇次郎はポケットに手を突っ込んだまま何事もなかったように堂々と闊歩していた。
このニュースを見たキャラは「雷は必ず、尖った部分へと流れる」と発言しており、“その場にいたどの生物や物体よりも、範馬勇次郎が尖っていたということの証明である”、と汗を垂らしながら語っていた。
雷の直撃に耐えうる肉体、それに動じない精神力、そしてなにより“雷”という自然現象を身一つで引き付けてしまう勇次郎の人間離れした一面が見える、なんとも信じがたいワンシーンだ。