『週刊少年ジャンプ』(集英社)で大人気を博した、井上雄彦氏によるバスケットボール漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』。惜しまれながらも、1996年第27号(6月17日号)で最終回を迎えた。
珠玉の名作として知られる『SLAM DUNK』についてはもはや説明不要だと思うが、実はその当時のジャンプを彩っていた作品群が、揃いも揃って素晴らしかったのをご存じだろうか。26年経った今、あらためて『SLAM DUNK』最終巻に掲載されていた『ジャンプ』作品の層の厚さを紹介したいと思う。
■喧嘩上等! 最強高校生・前田太尊の魅力満載『ろくでなしBLUES』
『ROOKIES』がドラマで大ヒットしたことにより、森田まさのり氏を知った平成世代の読者は少なくないはずだ。しかし、筆者のような昭和世代からすると、森田氏の代表作といえば、ヤンキーたちのバトルを描いた学園モノのの『ろくでなしBLUES』が思い浮かぶ。
主人公の前田太尊は喧嘩が強く、帝拳高校入学初日から教師を殴って停学してしまう問題児。しかし、義理人情に厚く、感動話には人前で号泣したり、非常に奥手な性格ゆえにヒロイン七瀬千秋との恋もなかなか進展しない……というユニークなキャラ。四天王編や大阪編での死闘はもちろん、敵味方問わず個性豊かな登場人物が魅力的だった。
当時すでに佳境に入っており、翌1997年には最終話を迎えることとなったが、『SLAMDUNK』と同様に同時期の『ジャンプ』を支えた存在といえるだろう。
■「おろ?」見た目と強さのギャップに惹かれた『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』
1990年代後半は、ジャンプ黄金時代を支えた『SLAM DUNK』のほか、『ドラゴンボール』『幽☆遊☆白書』など、名だたる人気作品が次々に終了している。こののち『ジャンプ』を牽引したのが、和月伸宏氏の『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』だ。
物語の舞台は明治初期、左頬に十字傷を持つ主人公・緋村剣心は、幕末に「人斬り抜刀斎」として名をはせた凄腕の剣士。しかし、明治の世になり“不殺”を決め込み、逆刃刀を持って素浪人となる。
その後、ヒロイン・神谷薫の神谷道場に身を寄せた剣心は、周囲の人を助けるべく望まない戦いを続けていく。不殺となった理由が頬の十字傷と関連しており、涙を誘う何とも悲しいストーリーなのだ。ちなみに1996年当時は、最強の敵でもある志々雄真実一派との闘いが佳境を迎えていたころ。
剣心がよく使うセリフは「おろ?」であり、イケメンでありながら少しとぼけた印象を抱かせる。学校の歴史の時間はいつも眠たかった筆者だが、『るろうに剣心』がきっかけで、幕末から明治時代に興味を持ったことを覚えている。