■歌詞がワンピースファンの胸に刺さる『One day』

 頂上戦争編のオープニング曲『One day』(The Rootless)も心に強く残っている曲だ。背中合わせのルフィとエースとともに出てくる『ワンピース』のロゴは、エースの能力を想起させる炎とともに現れる演出が素晴らしい。

 そして同曲の歌詞は、まさに登場人物の気持ちをそのまま歌っているかのようで、冒頭のエースの背中を追いかけるように歩くルフィや、麦わらの一味がそれぞれ現れる場面では、歌詞と映像がリンクした演出になっていた。

 そしてオープニング映像の終盤には、幼少期のルフィとエースの思い出のシーンが流れ、こちらも『One Day』の歌詞とシンクロ。頂上戦争編の結末を知る前と知ったあとでは、きっとこの主題歌の受け取り方は大きく変わってくることだろう。

■エンディングだけでなく、挿入歌としても感動させられた『memories』

 ラストに紹介するのは初代のエンディング主題歌『memories』(大槻マキ)だ。夕焼けの海を見つめる麦わらの一味の後ろ姿が徐々に増えていく映像が印象的で、元気いっぱいのオープニング曲『ウィーアー!』とは打って変わって、心に染みるような切ないメロディがステキだった。

 そして、この『memories』はたびたびアニメの挿入歌としても使用されている。808話のホールケーキアイランド編の中には、人質を取られて脅されているサンジが、迎えに来たルフィを拒絶し、一方的に攻撃した場面がある。それでもルフィはサンジのことを待っていると宣言し、馬車の中でサンジが涙を流す、作中でも屈指の感動的なシーンだ。

 このシーンの挿入歌として流れるのが『memories』だ。この曲とともにサンジの過去の活躍シーンの映像が映し出される演出は、涙なしには見られない。「オールブルーって知ってるか?」と笑顔でルフィに問いかける、あの頃のサンジの姿が懐かしくてたまらない。

 また、2013年に放送されたテレビスペシャルの『エピソードオブメリー ~もうひとりの仲間の物語~』のエンディングにも、この『memories』のカバーバージョンが採用。遠く海に浮かぶメリー号を眺める一味の後ろ姿が描かれ、サビのところからはメリー号がサニー号へと変わり、一味の姿も2年後のものに変わるという演出がエモかった。

 さらにアニメの968話の光月おでんがロジャー海賊団を回想する場面でも、挿入歌として『memories』が使用されている。ロジャーが「ラフテル」と名づける象徴的な回想シーンに同曲はぴったりで、アニメをずっと見続けてきた人にとってはこれ以上ないほどの感動的な演出と言えるだろう。今後も大切な場面で、この曲が聴ける日を楽しみにしたい。

 今回は曲もアニメ映像も最高に素晴らしかった3曲の主題歌を紹介させていただいた。もちろんこのほかにも『Believe』や『Share The World』を始め、素晴らしい主題歌はたくさんある。あなたにとって、一番思い出深い主題歌はどれだろうか。

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