子どもから大人にまで幅広い世代から愛されている国民的人気漫画『ドラえもん』。未来からやってきたネコ型ロボットのドラえもんが、便利なひみつ道具を使ってドジなのび太のピンチを救っていくというストーリーだ。
そんな私たちにたくさんの元気と勇気を与えてくれた『ドラえもん』だが、1996年に作者の藤子・F・不二雄氏がお亡くなりになられたので漫画は未完となっている。
しかし原作コミックスや『藤子・F・不二雄大全集』を読み返していると、まるで最終回のような話がいくつか存在することに気づく。そこで今回は筆者が漫画で見たドラえもんの“最終回”的なエピソードを紹介していこう。
※以下には、漫画『ドラえもん』の一部内容が含まれています。気になる方はご注意ください。
■本当の最終回になるかもしれなかった?「さようなら、ドラえもん」
てんとう虫コミックスの第6巻の最後に収録されている「さようなら、ドラえもん」という回が、実は本当に『ドラえもん』最終回のつもりで描かれたエピソードというのは、作者自身がテレビ番組の中で明かしている。
この「さようなら、ドラえもん」の回は、ドラえもんが未来の世界へ帰ることをのび太に告げるところから物語は始まる。のび太のことが気がかりなドラえもんはあれこれ心配するが、のび太はドラえもんを心配させまいと気丈にふるまう。
その後のび太は、ジャイアンからどんなに殴られてもドラえもんに助けを求めず、ついにジャイアンが根負けするほどの根性を見せた。ボロボロになったのび太は、ジャイアンに一人で勝てたことをドラえもんに誇らしげに報告。そのまま眠りについたのび太の寝顔を見ながらドラえもんは涙を流し、朝になるとドラえもんの姿は消えていた。
最後はドラえもんが開けていったであろう机の引き出しを眺めながら、ドラえもんへの想いを語るのび太の姿が描かれ、このエピソードは締めくくられている。
ちなみに作者の藤子・F・不二雄氏はこのあともドラえもんのことが頭から離れず、作品も爆発的にヒットしたという背景もあって、再び『ドラえもん』の連載を再開。コミックス第7巻の冒頭に収録されたのは「帰ってきたドラえもん」というエピソードで、ドラえもんが置いていったひみつ道具「ウソ800」の効果で、未来からドラえもんが帰ってくるという内容だった。