劇中では、「ドラえもん」しずかちゃん役を79年〜05年まで務めた声優であり、内海賢二さんの妻、野村道子さんも出演。病床でのお二人のやりとりも語られる。

 

野村道子
野村道子

内海:母が病床の父に「私、普通の奥さんじゃなくてごめんね」と言ったんですよね。それに対して、意識がほぼない状態だった父が「誰がそんなことを言ったんだ」と言ったんです。そのやりとりは、僕も病室で聞いていて泣けてきましたね。

 

そのように、仕事人としての内海賢二の肖像だけではなく、家族の姿を描いた映画としても観る者の心を揺さぶる本作。監督はどのような想いを託したのか。

 

榊原監督:本作の編集中にこれは「家族の映画」なんだと気づいていったところがあります。最初に考えていた部分とは、また別の魅力が映画の中に宿っているのを、感想を伺う中で目の当たりにして、おもしろく感じています。

内海賢太郎と賢プロ声優陣
内海賢太郎と賢プロ声優陣

 

最後に、内海賢二さんの映画を公開し、その想いを引き継ぐお二人に、普段お仕事で大切にされていることを教えていただいた。

 

榊原監督:僕は「芸事に携わる人たちは、芸事に一生学び続けるんだ」ということをおっしゃった本作の羽佐間(道夫)さんの言葉が深く心に残っているんです。それを大切に今後もやっていきたいと思います。そしてこの映画を作って、より感じたのはドキュメントはありのままを写すのではなく、作り手の主観がそこにあるということ。今回で言えば、僕の気持ちを観ている人に届けたいということなんです。たとえば、観てくれた人たちに“それぞれの受け取り方をしてほしい…”と言うのが嫌なんですよね(笑)。そうではなく、“僕はこう考えました、みなさんはどうですか?“と言える作品を作れるように仕事をしていきたいです。

 

内海:僕は父から教わってきたことで言えば、人に対しての思いやりだとか、人を大事にするということに尽きると思います。会社として、多くのタレントも抱えていますし、僕自身、彼らと心を通い合わせるということに時間を割いていきたいんですよね。いまのデジタルの時代において、それが希薄になりがちかもしれないですが、その気持ちは絶やさないようにしていきたいです。

 

©映画「その声のあなたへ」製作委員会

 

その声のあなたへ

『その声のあなたへ』
監督:榊原有佑
出演:逢田梨香子 伊藤昌弘 内海賢太郎 かないみか 神谷 明 柴田秀勝 杉山里穂 谷山紀章 浪川大輔 野沢雅子 他
配給:ナカチカ、ティ・ジョイ
全国公開中
https://sonokoe.com/

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