内海賢二
©映画「その声のあなたへ」製作委員会

『北斗の拳』ラオウ、『Dr.スランプ』則巻千兵衛、『ドラゴンボール』神龍や、『鋼の錬金術師』のアレックス・ルイ・アームストロングなどで知られる声優・内海賢二さん。日本のアニメ黎明期から声優を務め、吹き替えやナレーターとしても第一線で活躍したレジェンド声優の仕事と足跡を追う、ドキュメント映画『その声のあなたへ』が公開中。内海賢二さんが立ち上げた声優事務所・賢プロダクションの社長で、ご子息の内海賢太郎氏と榊原有佑監督の言葉から、本作の魅力を紐解きたい。

 

 

「初めて知る父の話がたくさんありました」

2013年に惜しまれながら逝去された声優・内海賢二さん。その人生とともに、声優やアニメの歴史をたどる『その声のあなたへ』が公開中。本作の企画はどのように動き出したのだろうか。


内海:父は福岡出身なのですが、榊原監督から「内海賢二さんの九州時代の話を知っている方はいますか」と聞かれるまで、ほとんど九州にいた頃の父のことはおろか、親戚のことも知らなかったんです。そこから、山口県に父の兄がいることがわかり、まったく知らなかった幼少期の話など、初めて知る父の話がたくさんありました。


榊原監督:賢太郎さんは、お父さんのドキュメントというよりは、声優業界のためになるならという思いで臨んでくださいました。実際、僕自身も取材する中で内海賢二さんの魅力はもちろん、声優業界の歴史のようなものも紐解いていく必要性を感じたんです。それによって「役者・内海賢二」像も深まっていくと考えたし、それは記録として後世に残さないといけないものだと思いました。その覚悟と同時に、自分が幼少の頃から愛してきたアニメなどへの思いを、『その声のあなたへ』というラブレターのようなタイトルに込めて、作品を構成していきました。

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