30歳の若さで亡くなった俳優・三浦春馬さんをめぐる著書が話題になっているが、三浦さんといえば、幼少期から子役として活動し、数々の映画やドラマで活躍した正統派俳優の1人だ。コミカルな役からシリアスな役、そしてイケメンヒーロー役もハマる三浦春馬さんの姿は、時代が変わっても多くの人の記憶に残り続ける。そこで今回は、三浦春馬さんの演技が光った漫画実写作品を厳選して紹介したい。
■漫画から出てきたような爽やかイケメンヒーロー!『君に届け』風早翔太役
三浦春馬さんの漫画実写作品で、『君に届け』は外せないだろう。少女漫画『君に届け』は椎名軽穂氏によって2005年から12年間『別冊マーガレット』(集英社)で連載された。
本作は、ホラー作品『リング』に登場する”貞子”のような見た目の主人公・黒沼爽子と、爽やかでクラスの人気者・風早翔太の初々しい恋愛模様が描かれた胸キュンストーリー。クラスで浮いた存在だった爽子を引き入れてあっという間に人気者にし、爽子の隠れた魅力を引き出していく風早は少女漫画のヒーローそのものであった。
そんな『君に届け』は、2010年に実写映画化された。主人公の爽子を演じたのは、実力派女優の多部未華子。そして、王子様のような風早を演じたのが三浦春馬さんだった。多部未華子扮する爽子も可愛らしいヒロインとして話題になったが、とくに印象に残ったのが爽やかな笑顔のイケメンヒーロー風早を見事に演じきった三浦春馬さんの役作りだろう。
少年のようなあどけなさ、人を惹きつけてやまない爽やかな明るい笑顔は、風早がまるで漫画から出てきたようで多くの女性の心を鷲掴みにしたようだ。
■鬼気迫る演技…大ヒットシリーズ『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』エレン・イェーガー役
三浦春馬さんが演じた漫画実写作品のなかでも大作だったのが、2015年、前編『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』と後編『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』の2部構成で公開された『進撃の巨人』シリーズだ。
原作は『別冊少年マガジン』(講談社)で約12年間にわたって連載された諫山創氏の『進撃の巨人』。
本作は、人類を捕食する得体の知れない巨人と、そびえ立つ防壁で巨人の侵入を妨げながら駆逐を試みる人類の命をかけた戦いの物語。”立体機動装置”と呼ばれるワイヤーを利用した特殊な武装を駆使し、空中を縦横無尽に飛び回って巨人と戦う人間の姿が、手に汗握るアクションシーンとともに描かれ大人気となった。
そんな『進撃の巨人』の実写映画は前後編を合わせて49億円を突破する興行収入を記録し、日本だけでなくアメリカでも公開されている。
この実写映画の前編後編で主人公のエレン・イェーガーを演じたのが三浦春馬さんである。原作が壮大な世界観で描かれた作品であるため、実写とのギャップに戸惑いを感じたファンもいたようだが、エレン役を務めた彼の鬼気迫る演技には賞賛の声が多く寄せられた。
ちなみに、実写映画では作中に登場する立体機動装置の動きを再現するためにワイヤーアクションが多用されたが、三浦春馬さんは変則的な動きに対応するための体作りにも余念がなかったようだ。
もともと演技力に定評のある三浦春馬さんだが、エレンのようにがむしゃらに真っ直ぐな男はハマり役だったと思う。鋭い目力からは強い生命力が感じられ、「巨人を必ず駆逐する」という確固たる意志が感じられた。また、ときに弱さや葛藤をも見せるエレンの人間らしいところも、見事に演じられていたのではないだろうか。