1986年にファミリーコンピュータ用ソフトとして誕生した『ドラゴンクエスト』シリーズ。作品によって異なるキャラクターの魅力や物語の展開に、多くの人が夢中になっている。特に、『ドラゴンクエスト』シリーズには、ただの冒険物語として片づけることができない悲惨な背景をもつキャラクターも多数おり、物語を表情豊かに彩っている。
そこで、今回は各シリーズで主人公および、パーティメンバーになったキャラクターの中から、筆者が特にかわいそうだと感じた人物を振り返りたい。
■『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』より主人公
苦しい運命をたどることが多いドラクエ主人公たちだが、クリアしたあとも物悲しさで胸がいっぱいになってしまうのが『IV』の主人公ではないだろうか。物語のはじまりでは、主人公は人里離れた山奥の小さな村で幸せに暮らしていた。その中でも、主人公と幼なじみのシンシアの仲睦まじく遊ぶ様子が描かれている。
しかしある日、村の存在を魔族の王デスピサロに知られ、魔物たちに急襲されてしまう。その際、シンシアは主人公を守るために地下室に閉じ込め「あなたを殺させはしないわ」と、モシャスの呪文を唱えて姿を主人公そっくりに化け、その身代わりとして魔物たちの元へ1人向かっていく。
為す術もなく、地下室で待つしかない主人公のもとに聞こえた「デスピサロさま!勇者をしとめました!」という魔物の声に、絶望したファンも多いのではないだろうか。その後、地下室から出た主人公が見たのは、滅ぼされた村だけ。すべてを奪われた復讐のために旅立った主人公は他にはいないだろう。
世界が平和に取り戻され、仲間を故郷に送ったあともなお、主人公だけは1人、あの野原となった山奥の村跡に戻ったのだった。エンディングで、突如現れたシンシアと抱き合うシーンは感動的ではあるが、シンシアが生き返ったのか、もしくは幻なのかなど明言はされておらず、謎を残した描写となっている。
世界を平和に導いてなお、主人公が幸せな人生を送れたのかについて含みがあることから、今回は主人公枠として『ドラゴンクエストIV』を選出した。