■凄まじい過去を持つ超人拳法の達人『闘将!!拉麺男』
「いやまて、超人とはどういうことだ?」と、そもそも中国拳法なのかという疑問が湧く人もいるだろう。しかし、ゆでたまごの『闘将!!拉麺男』は名作『キン肉マン』のスピンオフで、人気の高いラーメンマンを主人公としているから、間違いなくカンフー漫画といえるはずだ。
この作品に登場する主人公のラーメンマンは幼い頃に父親を馬賊・毒蛇(コブラ)党によって惨殺されてしまい、自身も崖から突き落とされた。崖下の川で釣り(魚を蹴り上げる?)をしていた超人拳法の達人・陳老師によって助けられると、超人拳法をマスターすべく弟子入りを直訴する。
幼児熱湯の窯から波風立てずにお札を取る、崖から飛び降りる、岩石を背負いながら腕立てなど、凄まじい修行を12年続けてまだ幼児から成年へと成長し、とうとう卒業の時がきたラーメンマン。
最後の修行はグツグツと煮えた油が入った大きな「かめ」を持ち上げて運ぶというという試練だ。心技体のすべてが欠けると成功せず、ラーメンマンはかめに額を押しつけて灼熱の油をこぼさずに運びあげた。ちなみに顔を上げると額に中の文字が浮かび上がるので、あれは火傷だったというのが分かる。
長い修行を経たラーメンマンは父親の仇を見つけ、超人拳法必殺技の百歩神拳という相手を切り裂く技を最初に披露し、見事に仇討に成功した。
『キン肉マン』でブロッケンマンの血を啜っていた残虐性が強い初登場とは違い、スピンオフでは登場時から正義のヒーローとして描かれているラーメンマン。血のにじむような努力がカンフー漫画のヒーローには必要なのだろう。
いかがだったろうか。カンフー漫画では本人の血と汗がにじみ出た努力こそが必殺技を生み出す証ともいえる。相手を瞬殺できるような必殺技など簡単には身につけられない。カンフー漫画を読み返すたび、努力の大事さが身に沁みる。