■よく考えると影響力がすごい「ポータブル国会」
コミックス15巻に登場する「ポータブル国会」というひみつ道具もかなり闇が深い。手書きした法案をこの機械に入れると、その法案の内容が日本中で守られるという、ちょっと強引なひみつ道具だ。
お年玉を1万円以上にする法案や、子どもに仕事をさせてはならない法案などはまだ良かったが、のび太は「今日だけ物の値段を十分の一にする法案」「漢字の“太”と“犬”を入れ替える法案」など、私利私欲にまみれた法案を次々と通していく。
だが、よく考えると日本中がパニックになりそうな際どい内容でもある。のび太の法案のせいで意図しない大安売りを強いられ、大損した人、あるいは倒産した店もあったかもしれない。
結局、のび太があまりにもむちゃな法案を通そうとしたことで、自動的に壊れる装置が作動。「カイサン」という擬音とともに、ポータブル国会が爆発するオチは秀逸だった。
■とんでもない欠陥品だった「人間製造機」
コミックス8巻に登場する「人間製造機」というひみつ道具は、その名の通り人間が作れるというもの。それだけでもなんとなく危険な香りがするひみつ道具だが、実は重大な欠陥があって回収されるはずだった。
だが、そんなことを知らないのび太は、ドラえもんの忠告を無視して勝手に使用。材料を投入して人間を作ろうと機械を作動させる。
実はこの機械で製造された人間は、とんでもない超能力を持つミュータントとして生まれる。そのミュータントは勝手に仲間を増やし、人類を征服しようと大騒ぎになった経緯があるのだ。
そんな欠陥品でのび太が製造してしまったミュータントは、超能力を駆使してしずかちゃんを殺そうとするなど大暴れ。結局ドラえもんが別のひみつ道具を駆使して事なきを得たが、何とも後味の悪いエピソードだった。そもそも人間をカンタンに作れるひみつ道具というだけで恐ろしいものを感じる。