■もはや正式な用途は不明?「ゴルゴンの首」
コミックス20巻に収録された「ゴルゴンの首」というエピソード。宿題を忘れたり、居眠りでしょっちゅう廊下に立たされるのび太は、足が疲れたと言い出す。そんなのび太のためにドラえもんが出したのが「ゴルゴンの首」というひみつ道具だった。
それは箱に入ったヘビのようなゴルゴンの目から出る光線が当たると、カチカチの石のようになるという効果がある。廊下に立たされたときに、のび太の足を石にしてしまえば、いくら立たされても疲れないという思惑だ。
あまりにも限定的すぎる効果に驚かされるが、のび太はうっかりゴルゴンを学校の裏山に逃がしてしまう。そしてゴルゴンに近づいた生物は次々と石にされていったのである。
石化したジャイアンが木の上から落下し、たまたま下にいたゴルゴンがそのお尻につぶされたことで捕獲できたが、あのままゴルゴンに逃げられたら大惨事になっていたはず。そもそも本来の正しい用途がよく分からない、ちょっと不気味なひみつ道具でもあった。
■あわや地球滅亡の危機となった「バイバイン」
コミックス17巻に登場した「バイバイン」も恐ろしいひみつ道具。増やしたいものに振りかけると、5分後に2倍に増えるという効果がある。
バイバインを振りかけても5分以内に完食すればそれ以上増えることはないが、放置すると倍々ゲームで無限に増え続けてしまう。これで栗まんじゅうを増やそうとしたのび太は、ドラえもんの忠告を無視し、食べきれなかった栗まんじゅうを捨ててしまうのだ。
そのまま増殖し続ける栗まんじゅうを放置すると、一日で地球が埋まってしまうという。処理に困ったドラえもんは、ついにはロケットを利用して宇宙の彼方に栗まんじゅうを破棄するという荒業で解決(?)してみせた。
このバイバインの本当に恐ろしいところは、ドラえもんが「なんでも増やす薬」と説明していた通り、対象は食べ物に限らない点にある。悪用しようと思えばカンタンに地球を滅亡させられそうな怖さを感じるひみつ道具だった。
夢のあるドラえもんのひみつ道具の中には、どう考えても子ども向きではない危険なものも存在する。そんな怖いひみつ道具を通じ、反面教師とする意図があったのかもしれないが、一歩間違えたら破滅したり、他人に甚大な損害を与えそうな道具は極力触れたくないものだ。