『ジョジョの奇妙な冒険』重ちー、広瀬康一、川尻早人! 4部の“チビキャラ”たちが振り絞った「勇気」の名シーン3選の画像
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 荒木飛呂彦氏による漫画『ジョジョの奇妙な冒険』にはこれまで数多くのキャラが登場した。いずれも個性的でそれぞれの良さや特徴を持っているが、屈強なキャラばかりが目立つわけではなく、時には非力で臆病だったようなキャラクターが、自分よりも数倍強い強物を脅かすほどの活躍を見せることもある。

 なぜそんなことが起こっているのか? その理由のひとつが「勇気」の心だろう。ジョジョのテーマでもあり、これを持っているからこそ悪人に負けない強さを発揮できる。そこで今回は、非力なチビキャラによる「勇気」が光った第4部から、筆者が特に心揺さぶられた名シーンをいくつか振り返ってみたいと思う。

 

※以下には、コミック『ジョジョの奇妙な冒険』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。

 

■父親と母親を守るために戦う

 まずは、仗助たちの通う学校の中等部にいる重ちーこと矢安宮重清から。見た目は背が低いどんぐり体型で、いつも鼻水を垂らした金にイジ汚い重ちーだが、彼は街で密かに犯罪を重ねる殺人鬼・吉良吉影を追い詰めた勇気ある少年だ。

 ある日、重ちーは人気のサンドイッチを買って帰る途中、偶然同じパン屋の袋を持つ吉良吉影とぶつかり、2人の紙袋が入れ替わってしまう。吉良は気に入った女性を見つけては、手首以外をスタンドで消し飛ばして殺す行為を繰り返しており、彼の持っていた紙袋にはこのときも女性の手首が入っていた。

 自らの犯罪の証拠が見つかると焦った吉良は、すぐに重ちーを追いかけて気づかれないように袋を取り戻そうとする。なんとか回収には成功したが、重ちーのスタンド「ハーヴェスト」に気付かれ、やむなく交戦。吉良は自身のスタンド「キラークイーン」によって、重ちーを爆発させ重傷を負わせた。

 吉良はここで、あえて一瞬では殺さず、重ちーの側にいるスタンド使いの仲間について話させようとする。だがここで、吉良の言った「他のスタンド使いの人数と能力を教えなければ君の両親を殺す」というセリフに重ちーは激怒。勇気を振り絞り、残りわずかの力で「ハーヴェスト」を使い吉良の目の前を覆って逃げると、「おらがッ!『パパ』と『ママ』をあいつから守るどッ!」と覚悟を決め、仗助たちのいる高等部を目指したのだった。

 離脱するキャラの少ない4部において、重ちーは数少ない犠牲者のひとりとなったが、彼の勇気が仗助を始めとする仲間のスタンド使いが吉良を探すために動きだすきっかけを作った。中学生の重ちーがここまでの勇気を見せた姿は何度読み返してもシビれてしまう。

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