■システム発動後は機体制御が不能になり少女の幻影を見る
宇宙世紀におけるオカルトシステムはこれだけではない。1996年から1997年にかけてセガサターン用ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』に登場し、ブルーディスティニーシリーズやイフリート改に搭載された「EXAMシステム」もこのテーマを語るうえで外せないものではないだろうか。。
EXAMシステムは「オールドタイプでもニュータイプを打倒できるように戦闘能力を向上させる」といったコンセプトのもと、ジオンのフラナガン機関により開発されたOS。実験体となったニュータイプの少女マリオン・ウェルチの感応波を取り込むことで完成し、実験後にマリオンは意識不明となっている。
EXAMシステムはパイロットの脳波を電磁波として感知し「殺気」を判別し、敵機の位置特定や回避行動に役立てるといった、ニュータイプのような機体制御を可能とする。しかし、実際は多数の「殺気」を感知し、無差別な殺戮を行う戦闘機械と化す。さらに、パイロットはこのときにマリオンの幻影を見る。そのうえ、システムとパイロットの親和性が低ければ、肉体と精神に過度な負荷が加わって死亡する例もあった。
ちなみに、マリオンは最終的に意識を取り戻す。『機動戦士ガンダム』のララァ・スンや『機動戦士Zガンダム』のフォウ・ムラサメのような運命をたどらないため、当時はホッとした。
『ガンダム』シリーズはロボットで戦争する側面より、人の心や思いが戦場でどのように作用するのかを描いている部分もある。戦争という凄惨な出来事を背景にしつつ、人間らしさを考えさせられる重厚なテーマといえる。
2022年10月より放送が開始される『機動戦士ガンダム 水星の魔女』にも、おそらくオカルトチックなシステムが登場するだろう。どのような現象を目の当たりにできるのか、放送開始が待ち遠しい。