■人の思いが光になり超重量物質を押し返す

 続いて紹介するのは1988年に劇場公開された『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』や2010年からOVA展開された『機動戦士ガンダムUC』、2018年に劇場公開された『機動戦士ガンダムNT』に登場する「サイコフレーム」だ。

 サイコフレームは、コンピューターチップを鋳込んだMS用の部材。つまりMSの材料で、作中ではおもに、ν(ニュー)ガンダムやサザビー、ユニコーンガンダムシリーズに搭載されている。

 サイコフレームはそれ自体がサイコミュの基礎機能を持っているため、パイロットの意思を直接MSの駆動系に伝えることができ、機体性能の向上を実現した。しかし、パイロットや周囲の人間の感応波を受信する性質から、さまざまなオカルト現象を引き起こしているのだ。

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、超重量物質である小惑星アクシズをνガンダムを起点とする感応波で押し返した。このとき発光現象が起き、地球からは大きなオーロラとして確認できた。

 アクシズを地球に落下させまいと押し返すνガンダムだが、当然たった1機では支えることはできなかった。しかし、連邦軍のジェガンやネオ・ジオン軍のギラ・ドーガがわだかまりを超えてアクシズを押し戻そうとする。

「地球に落下させまい」とする人の思いは、νガンダムのサイコフレームを介して光となった。この光を目の当たりにしたシャアは「恐怖は感じない。むしろあたたかくて、安心を感じる」と感じている。

 人の思いが物質を動かし地球を救うなど、いくら科学が発達しても難しいだろう。

 また『機動戦士ガンダムUC』や『機動戦士ガンダムNT』では、サイコフレームの波動を浴びた人工物が分解される現象も発生する。

『機動戦士ガンダムUC』のキーアイテムである「ラプラスの箱」についてミネバ・ラオ・ザビが演説を始め、それは地球連邦政府の根幹を覆す重要な内容だった。

 演説を中止しようとする地球連邦軍はMSを差し向けるが、ユニコーンガンダムから放たれた波動を浴びると行動不能に陥った。これもサイコフレームが人の思いを増幅して作用した結果なのだろう。

 直接の続編である『機動戦士ガンダムNT』では、この現象について「まるで組み立て前に戻ったようにジェネレーターが分解されていた」と言及された。

 ここまで来ると、完全に「システム」の域を超えたオカルトといえるのではないだろうか。ちなみに、サイコフレームの発光現象は開発者でさえも、原因が分かっていないらしい。

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