1979年にアニメ『機動戦士ガンダム』が放送されてから、40年以上愛され続けている『ガンダム』シリーズ。宇宙を舞台にした戦争を描く同作では、現代の技術では再現不可能なロボットや兵器が多く登場しており、その世界観をあらわす未知なる「用語」の数々が我々視聴者をいつもワクワクさせてきた。
しかし、発達しすぎた技術や概念が視聴者だけではなく、キャラクターたちをも置いてけぼりにすることもあり、具体的にシーンを見てもどうなっているのか想像力が追いつかないこともしばしば。そこで今回は、歴代の『ガンダム』作品の中からすごすぎる技術力のせいで、オカルト的境地まで達してしまったシステムをピックアップ。作中でどのような現象を引き起こしたのか振り返ってみたいと思う。
■死者の思念と同化し、遠隔操作や敵機の制御を奪う
まずは、1985年に放送された『機動戦士Zガンダム』や1986年に放送された『機動戦士ガンダムZZ』で、それぞれの主人公機であるZガンダムやZZガンダムに搭載されていた簡易サイコミュシステム「バイオセンサー」から。
この「サイコミュ」とは「サイコ・コミュニケーター」の略称で、ニュータイプの発する感応波を利用して機体の制御を行うシステム。ジオン公国の研究機関により開発されたもので、『機動戦士ガンダム』では、ブラウ・ブロ、エルメス、ジオングなどに搭載されている。
これを利用した簡易サイコミュといえるバイオセンサーは、ファンネルのような火器管制は行わず、機体制御の支援のみを行う。システムにはリミッターがつけられており、ニュータイプ能力の低いパイロットが搭乗した場合は動作すらしないが、モビルスーツの反応速度を高めたりコントロール性能を高めたりすることが可能となった。
このバイオセンサーをZガンダムのパイロットであるカミーユ・ビダンはただ1人、完全に稼働させることに成功するが、科学では到底説明できないような事態を引き起こし、ビームライフルをはじき返すサイコ・フィールドを形成したり、敵機の索敵モニターを攪乱させたりしていた。
さらにそれだけに止まらず、オカルトめいたことまで引き起こしたのが「バイオセンサー」だった。極めつけは、死者の思念と同化して、敵機の制御を奪ったことだろう。これは最終話でジ・O(じお)を駆るパプテマス・シロッコとの一騎打ちで引き起こされる。
感情が高ぶり、バイオセンサーのスペックを引き出したカミーユは、それまでに死亡したエマ・シーンやフォウ・ムラサメ、レコア・ロンドなどの思念体と会話を交わす。死者の思念を力に変えたカミーユは、ジ・Oの制御を奪い、シロッコを打ち倒した。
死者と会話するシーンは、科学を超えたオカルト以外の何者でもないだろう。そのインパクトの強さは、アニメを観た当時、何が起きていたのかさっぱり分からなかったほどだ。